雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第百四十八話 釜神さん
釜神さん



むかしなぁ、あるところさ心やさしいじい様と欲たかりのばあ様がいたんだと。じい様が山さ芝刈りしているとなぁ、目の前さほら穴を見つけたんだと。じい様はこの穴に山賊が住み着いちゃなんねぇって考えてなぁ、鎌とりだすと周りの柴を刈っては穴にふたをすることにしたんだと。

じい様が柴を刈っては穴さ、刈っては穴さ投げ入れたんだどもいくら柴を中さいれてもすいすい引き込まれていったんだと。不思議におもったじい様が中をのぞいてみっとなぁ中には若い娘さんがいたんだと。じい様がおどろくとなぁ、娘さんは

「柴をたくさんありがとうございます。お礼にこの子をさしあげます。名前をヒョウトクといいます」

ていうとすうっと娘さんの姿が消えて、目ん玉がギョロリとして口がひんまがったわらしっ子がいたんだと。おじいさんはどうしたらいいかわかんねかったんだどもとりあえずわらしっ子を家さ連れて帰ったんだど。

家に着くと欲たかりのばあ様からあれやこれやと文句言われたんだどもじい様はほっとけねえってことで、家ん中さいれたんだと。ヒョウトクはいろりのそばさあぐらかくとヘソばかりいじっていてなぁ。あまりいじるもんだから、じい様は

「ヒョウトクや、ヘソをいじるのはやめろや」

といって思わず火箸でヘソをつついたんだと。そうしたら、へそからころりと光り輝くもんがでてきてなぁ、よく見てみっと黄金の粒だったもんだからたまげてしまったんだと。ばあ様はよろこんでへそをつつこうとするとなぁ、

「なんどもへそをつつくのはかわいそうだからやめろや」

ってばあ様を止めたんだと。

次の日じい様がいつものように山さ芝刈りさでかけたんだと。じい様が出かけたのを見届けっと欲たかりのばあ様がヒョウトクのへソを火箸でつついたんだと。そしたら黄金の粒がコロリと落ちてきてなぁ、ばあ様は何度も何度もヒョウトクのへそをつついては黄金の粒をかき集めたんだと。んだども何度も何度もつついたもんだからヒョウトクのへそがどんどんふくらんできてなぁ、とうとう死んでしまったんだと。

山から帰ってきたじい様はそのことを聞いてなぁおいおい泣きながらヒョウトクを裏山さ葬ったんだと。その晩のこと、じい様が寝てるとなぁヒョウトクが夢枕に立ってなぁ、

「じい様、悲しむことねぇ。おいらの顔をお面にして柱にかけてくれればずっとじい様を守る」
って言ったんだと。

じい様はさっそく次の日になっとヒョウトクの顔の形をしたお面を彫って土間の太い柱にかけたんだと。それからはというもの、じい様は前にも増して幸せに暮らしたんだと。

それが、家を守る釜神さんになってなぁ、ほれ、ヒョウトクでなくひょっとこと言えばいいんだな。


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【2006/10/28 21:16】 | 民話(地域未関係) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百四十四話 年取りの客
年取りの客



むかしなぁ、大晦日の晩のこと。ある村さぼろぼろの袈裟まとった目が見えねぇ坊様が通りかかったんだと。坊様は今日年を越す宿がねえもんでなぁ、杖をたよりにそろそろと村の家々を歩きまわっては年越させてもらえねぇか、年越させてもらえねぇか、って頼んだんだと。んだどもどこもそんな余裕ねぇ、って断られるもんでなぁ、とうとう村の外れまで来てしまったんだと。

村のはずれさぽつんとぼろぼろの一軒家があったてなぁ、坊様はそこにも年取らせてもらえねぇかって頼んだんだと。そしたらそこの父様が
「それはそれはなんぎなこった。ほら泊まってけ」
ってな。川魚なんかを坊様さ振舞ったんだと。坊様は寝る時になぁ、
「おらぁ、目がみえねぇんだども習わしで朝に若水をくむもんでなぁ。井戸と桶のあるとこ教えてけろ」
って言うんだと。父様と母様はそれはあぶねぇからやめとけって言うんだども、坊様は昔からの風習だからどうしてもしなきゃなんねぇ、って譲らなくてなぁ。仕方ねぇもんで坊様の手を引っ張って井戸と桶のある場所を教えてその晩寝かせたんだと。んだども坊様が井戸におちねぇか心配なもんでな。ずっと寝れねぇでいたんだと。

そしたらこけこっこー、って一番鶏が鳴いたんだと。坊様が部屋から出て井戸の方さ歩いていくのがわかったんだども、

ぼちゃーん

って坊様が井戸さ落ちた音が聞こえたんだと。父様と母様はほれみたことか、ってんで急いで井戸さ駆けつけてつるべを引き上げて坊様を助けようとしたんだと。そしたらそこさ坊様の姿はなく大判小判が山ほどあったんだと。大判小判を引き上げても坊様の姿がみえねぇもんでなぁ、こりゃあ坊様は福の神ではないかってことでなぁ、大判小判を村のもんさ分け与えて父様と母様も幸せに暮らしたんだと。


それを聞いた隣村の親父がなぁ、こりゃあおらも大判小判せしめてやるべってんで朝から仕事しねぇで坊様がくるのをひたすら待っていたんだと。そしたら正月近くのまだ日も昇っているころに目のみえねぇ坊様が通りかかったんだと。坊様はまだ明るいから隣の村まで行くって言うんだども親父は泊まれ泊まれってしつこく言うもんでなぁ、根負けして坊様は泊まることにしたんだと。親父は坊様さご馳走を振舞ったんだと。そして坊様さ
「おらほさ泊まったにゃあ、朝さ若水を汲まねばなんねぇ」
っていったんだと。坊様は目がみえねぇのにどうやって水汲むんだ、って断ったんだども親父がしつこくしつこく言うもんでなぁ、しぶしぶ承知したんだと。

翌朝さなって、坊様が井戸さ若水を汲みにいったんだと。んだどもいどさおちねぇで無事戻ってきたもんでなぁ、親父はもう一度汲みに行けっていうんだと。坊様は仕方なくもう一度汲みさ行くんだども落ちねぇで無事に戻ってきたんだと。親父はごうを煮やして三度坊様さ汲みに行かせたんだと。坊様の後ろをこっそり親父がついていってなぁ、坊様が水汲もうとした時に足引っ張って坊様を井戸さ落っことしたんだと。親父はやっと落ちたってんで、つるべで坊様を引き上げたんだどもそこには冷たくなった坊様がいたんだと。坊様殺したもんだから、親父は牢屋さぶちこまれてしまってなぁ、うらやましいからってんで人の真似をするもんではねぇもんだと。



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【2006/10/19 20:45】 | 民話(地域未関係) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百三十四話 その1 船幽霊
船幽霊



もうお盆が近えよなぁ。盆には遠いところからご先祖様が帰ってくるもんだからな、獣や魚などの殺生はやらねぇもんなんだと。

んだども、ある漁師さんがなぁ
「まわりに誰も魚とるもんがいねえならおらがすべて捕っちまうべ」
って、周りの仲間が止めるのもきかねぇで舟を出そうとしたんだと。さすがに一人じゃあ漁ができねぇもんでな、周りのもんにも声かけたんだどもだぁれもいなくてな。みるに見かねた年寄りの漁師がなぁ、一緒に付いていくことにしたんだと。

沖へでてみると波は穏やかで、網入れるとあとからあとからどんどん魚が捕れるもんでなぁ、あと少しあと少しって時間をのばしているうちにいつのまにかあたりは真っ暗になっていたんだと。漁師が帰ろうとするとなぁ、突然今まで穏やかだった波はまたたくまに荒れ狂ってなぁ風がびゅーびゅー吹き始めたんだと。
これはいけねぇ、って急いで舟を陸さ戻そうとしたんだと。んだども海は荒れ狂ってなぁ、なかなか前に進まなかったんだと。それでもどうにかして前へ進むとなぁ、いつのまにか海は穏やかになっていたんだと。漁師は安心して前のほうを見るとなぁ、いつのまにかぼろぼろの船が近づいてきて

「ひしゃくかせぇ、ひしゃくかせぇ」

って不気味な声で言ってきたんだと。

漁師は怖くなって舟の中にあったひしゃくを投げようとするとなぁ、年寄りの漁師がとめて、懐に入れていたひしゃくを投げたんだと。そしたら海からひしゃくを持った手がでてきてなぁ、舟ん中にひしゃくで水を入れようとしたんだと。舟は急いで陸さめざしてこいでいったんだと。後ろからひしゃくを持った手が追いかけてくるんだどもいつのまにかいなくなってなぁ、漁師は命からがら戻ってくることができたんだと。

「あの舟と海からでだ手は舟幽霊といってなぁ、ひしゃくを投げるとそのひしゃくで海の水を舟ん中にいれて沈めてしまうもんでなぁ、んだから底のないひしゃくを持っていかねばならねぇんだ」

ってな。それ以来漁師は海さでるのおっかながったんだと。



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【2006/09/28 19:58】 | 民話(地域未関係) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百三十話 柿のばけもの
柿のばけもの


むかしなぁ、ある寺さお坊さんと小僧さんがすんでいたんだと。ある日の事、和尚さんが法事さでて寺には小僧さん一人だったもんで庭を掃除していたんだと。
そしたらどこからともなく

「小僧やぃ、小僧やぁ」

って声が聞こえたんだと。小僧さんがあたりを見回すとそこにはいつの間にか顔を真っ赤にした男がいたんだと。男は小僧さんさ睨みつけっと

「おい、小僧。すぐにすり鉢もってこい」

って怒鳴るんだと。小僧さんは恐ろしくなって台所さいくとすり鉢を持ってきたんだと。男はそれをうけとっと、いきなり尻まくって

ぴりぴりぴりぴり

ってすり鉢さ糞たれたんだと。小僧さんがあっけにとられていっと男は糞が入ったすり鉢を小僧さんさ突き出して

「おめぇ、これを食え」

って恐ろしい形相で渡したんだと。小僧さんは怖えもんだから仕方なく男がたれた糞をおそるおそる一口食べてみたんだと。そしたらそれはそれは甘めぇもんでなぁ、あっという間に食ってしまったんだと。それを見た男は

「またくっからな」

って言っては和尚さんが留守なのを見計らっては小僧さんの前さ現れては糞たれて、小僧さんはそれをうめえうめえって食っていたんだと。

んだども、小僧さんは日に日に恐ろしくなってきたもんでなぁ、和尚さんさいままでのことをしゃべったんだと。そしたら和尚さんは

「そんなら今度こっそりあとつけてみっぺ」

ってことにしたんだと。

あくる日のこと、和尚さんが出かける振りしてすぐに寺さ戻るとなぁ、そこには顔真っ赤にした男と小僧さんがいて、小僧さんはいつものように糞をくっていたんだと。男が食べ終わるのを見届けっと山の方さ歩いていったんだと。和尚さんと小僧さんはこっそり男のあとをつけてみたんだと。男は山の奥のほうへ奥のほうへ歩いているとなぁ、ふいにその姿がみえねくなってしまったんだと和尚さんと小僧さんは男の姿が見えねくなったあたりを探してみっとなぁ、どこからか柿の匂いがしたんだと。匂いのするほうさいってみっとそこには大きな柿の木があってなぁ、地面さぼたぼたよく熟れた柿が落ちていたんだと。

「そうかそうか、食べてほしくて小僧の前さあらわれたんだな」

ってなぁ、和尚さんと小僧さんはたくさんの柿を持って帰ったんだと。それからというもの顔を真っ赤にした男はあらわれなくなったんだとさ。




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【2006/09/20 19:41】 | 民話(地域未関係) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百八話 夢よもやまばなし その2
夢はいってはなんねぇもんだ


むかしなぁ、二人の男が峠で一休みしていたんだと。一人は火をつけていっぷくしてたんだども、もう一人の男は疲れからかうとうとねむりかけてなぁ、そのまま眠ってしまったんだと。

ぷかーり、ぷかーり煙草を吸っているとなぁ眠っている男の鼻の穴からアブが顔をだしてぶーーーーんって、どこかさ飛んで行ってしまったんだと。煙草を吸ってる男は不思議なこともあるもんだと眺めているとなぁ、さっき飛んでったアブが戻ってきてまた眠っている男の鼻の穴さ入っていったんだと。そしたら眠りこけていた男が目を覚ましてなぁ、
「あぁ、夢だったのか。いま村の旦那様の庭さある白い椿の株の下さこぉんな金の瓶が埋まっている夢をみたんだ。」
って言ったんだと。

その晩、それを聞いていた煙草を吸っていた男がなぁ、こっそりと旦那様の屋敷さいって白椿の下を掘ったんだと。そしたら本当に金でできた瓶が出てきてそれを持ち帰ったんだと。それからというもの、男は金持ちになって幸せに暮らしたんだと。
んだからいい夢見たら人にいうもんではねぇんだとさ。




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【2006/08/03 20:51】 | 民話(地域未関係) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百八話 夢よもやまばなし その1
初夢はいってはなんねぇ


あるもんが初夢で富士山から鷹が飛びなすびの畑にとまる夢を見たんだと。それをみた男は縁起がいいもんで喜んでな、道であう日と会う人に夢の話をしたんだと。

そしたらある意地悪な男がなぁ、
「どんな夢でも悪く考えることができるもんだ」
っていったんだと。
「借金が山のようにあってもなすきがなければたかのしれたもんだ」
っていってなぁ、いい夢を見た男は不機嫌になったんだと。そしたらそのあとだんだん悪いことが続いて日に日に暮らし向きが悪くなったんだと。

んだからいい初夢を見たときは誰にもはなさねぇほうがいいんだとさ。



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【2006/08/01 20:48】 | 民話(地域未関係) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百七話 大歳の火
大歳の火


むかしなぁ、ある店さ嫁っこが住んでいたんだと。嫁っこは嫁いだばかりだったんだどもあれこれと気がきく嫁っこだったんだと。その年の大歳のこと、姑さんが嫁っこさ、
「今年はおめえさ、火の番を頼むからな。けっして絶やしてはなんねぇぞ」
っていって嫁っこ以外はみんな床さ入ったんだと。

嫁っこは囲炉裏の前で灰をかき混ぜながら火の種が絶えねぇように、じっと番をしていたんだと。んだども大歳やら、正月の準備やらで忙しかったもんでな、ついついうとうとしてしまったんだと。嫁っこがはっ、っと気づいてなぁ、慌てて囲炉裏の灰をかき回したんだども火種が無くなっていたんだと。

嫁っこはどうしたもんだべ、っていい考えもなく外さ出て行ったんだと。歩いても歩いても何もいい考えが浮かばねぇもんで途方にくれていっと遠くの方さちらちらって焚き火が見えたんだと。嫁っこはわらにもすがる思いで焚き火の方さかけていくとそこにはいかつい顔した7人の男が焚き火を囲んでいたんだと。嫁っこは
「おねがいです、火種分けてくれませんでしょうか」
って頼んだんだと。そしたら男たちは
「おらたちの頼みを聞いてくれるんならわけてやってもいいぞ。実はおらの仲間が死んでしまったんだ。明日は正月だから葬式するわけにもいかねぇから、正月の間あずかってけろ。それなら火種をわけてやってもいい」
っていうんだと。嫁っこは死体を持って帰るのはとんでもねぇって思ったんだども火種のあてがねぇからしぶしぶ承知したんだと。嫁っこは死体を背中さ背負い家さ戻ったんだと。火種を囲炉裏さいれっと、死体をみつかんねぇように馬小屋ん中さあるわらのなかさ隠したんだと。

夜が明けて正月をむかえっとな、一家総出で囲炉裏を囲んで雑煮やらおせちやらを食べていたんだと。そしたら馬がなんだか騒がしいもんでなぁ、夫が馬小屋さ行ったんだと、そしたら夫が驚いた声で
「おーい、みんなこっちさこい」
っていうもんでな。嫁っこは顔を真っ青にして馬小屋さいったんだと。そしたらわらの中からまぶしい光が差し込んでくるもんでな、よくよく見てみっとそこには夫の背丈もあるぐれぇの金の塊があったんだと。お舅さんは朝から嫁っこがおちつかねぇかったもんだからわけを聞いてみたんだと。嫁っこも、昨晩の話をするとなぁ、
お舅さんは
「あぁ、それは七福神でなぁ。おめえさんを助けてやるためにあらわれたんだろう。それにおめえがまじめに働くもんだから宝を持たせたんだろう」
ってなぁ。それからこの家はますます暮らしがよくなっていったんだと。



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【2006/07/30 20:44】 | 民話(地域未関係) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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