天沼の主
むかしはなぁ、作並っちゅうとこさ天沼っちゅう沼があったんだと。この沼に主が住んでいてなぁ、よく人を惑わしていたんだと。里の男の姿をみつけっと、若けぇ娘っこさ化けては沼ん中さ入ってなぁ 「あーーーれーーー、だれかたすけてくんろーーー」 って助けを求めるんだと。男は驚いて沼ん中さ入って助けようとするとな、娘っこは男の足をつかんではそのまま沼の奥底さ引きずりこんで殺してしまうんだと。 この話を聞いた熊ヶ根さ住む上の寺和尚さんはなぁ、なんとかしなけりゃなんねぇって草木を踏み分けて天沼の前さ立つと沼さ向かって 「おーーい、主殿ーーー、どうして罪もねぇ人を殺そうとするんだ」 って叫ぶんだと。そしたら沼のそこからぶくぶくぶくぶくって若い娘っこの姿をした主が和尚さんの前さあらわれてなぁ、 「わたしは長年この湖で一人で住んでおりました。人恋しくて、男が近づいてくるとこの心を抑えきれず若い女さ化けてしまうのです。和尚様、この私を哀れだと思われましたら、和尚様の功徳によりこれまでの悪行を消して人間に生まれ変わることができたのならば、こんな恐ろしいことを重ねたでしょうか」 って嘆くんだと。 和尚さんはこの話を聞いて哀れに思ってなぁ、七日七晩祈祷をした水を与えたんだと。それを主に与えるとなぁ、主は若い娘っことして生まれ変わったんだと。主はなんどもなんども和尚さんにお礼をいうと、どこかへ去ってしまったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
浄円坊
むかしなぁ、東照宮の別当である仙岳院っちゅうお寺さ浄円坊というお坊さんがおったんだと。浄円坊はとてもまじめで心がけが立派な坊さんだったんだと。 その頃は修行の場として出羽三山の一つ、羽黒山さでかけては修行を積んでいたんだと。出羽三山では修験道っちゅう山伏の格好をして燃えている火の上を歩いたりと普通のもんでは到底まねできねぇ修行を積んでいたんだと。 仙岳院から羽黒山までは何日もかけねぇといけないんだども、浄円坊は修行の成果かどうだかはよくわかんねえんだけどもなぁ。韋駄天のように足が驚くほどはやく、釜さごはんをかけて火をつけてそれが炊き上がる間に羽黒山さ往復して戻ってこれるぐらいの足だったんだと。 ある日のこと、浄円坊のお師匠様が重い病にかかってしまってなぁ、浄円坊がつきっきりで看病したんだども日に日に重くなるばかりでいよいよ覚悟しなけりゃならなくなったんだと。そしたら師匠は浄円坊さ向かって 「死ぬ前に最上の豆腐が食べたいのぉ」 っていうもんでな、浄円坊は立ち上がったかと思うとあっというまに豆腐を持ってきて師匠さ食べさせたんだと。 いまでも足の病気や足が速くなるための願掛けとしておまいりが絶えないんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
佗助蔵
おらが子供のころになぁ、佗助蔵ちゅう蔵があってなぁ。今日はそれにまつわる話。 むかしなぁ、仙台は青葉城の二の丸城中さ佗助っちゅうもんが働いていたんだと。佗助は酒豪として名が知れてなぁ、次から次へと酒がつがれてもあっちゅう間に飲みほしてしまうんだと。 そんな噂が家来からお殿様の耳さはいってな、ぜひ見てみたいもんだということになってなぁ、佗助をお殿様の前さ召しだしたんだと。お殿様が 「その方は酒を飲むことにかけては天下一品じゃそうだが、それを見せてみよ」 っていうもんでな、佗助はかたじけなしとばかりに目の前差あった大盃さなみなみと酒をついでなぁ、あっという間に飲み干してしまったんだと。もちろん一杯で満足できるわけじゃねえもんでなぁ、次から次へ盃さ酒をついではごくごくごくごくうまそうに飲み干してなぁ、周りの家来はもちろんお殿様もこれにはたまげてしまったんだと。 いつになったら終わるのかとまわりが佗助を見ているとなぁ、あれだけごくごく飲んでいた佗助の盃がぴたっと止まったかと思うとそのまま盃を落として佗助は頓死してしまったんだと。お殿様は佗助の胃袋がどんなものになっているのか知りたくてなぁ、家来に言いつけて腹を開けてみたんだと。そしたら胃袋からなんともでっけえ瓶が出てきてなぁ、周りのもんはまたまたびっくりしてしまったんだと。 その瓶を二の丸の奥さある蔵さ入れておいたからその蔵を佗助蔵というようになったんだと。んだども佗助の胃袋ん中さ瓶が入っていたのかはわしにもわからねぇ。 なんせむかしのはなしだからのぅ・・・ まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
栄存法印 前編
むかしなぁ、仙台の片平っちゅう所さある長沼家の屋敷さ笹町家の嫁っこが嫁いだんだと。主人と嫁っこは仲むつまじくてなぁ、二人の間にゃそれはそれは玉のような男の子をさずかったんだと。 ある日のこと、子守女が男の子をあやしているとなぁ一人の旅姿のお坊さんがやってきて子供を見つけてはニコニコと微笑みかけてたんだと。お坊さんは赤ん坊にほほえみかけながら子守女に 「かわいいお子さんじゃのう。どちら様の御子じゃ」 って聞いたんだと。子守女は 「このお屋敷の長沼様の御子でございます」 って答えたんだと。お坊さんは 「奥方はどちらからこられたのじゃ」 って聞くとなぁ子守女は 「奥様は笹町家と伺っております」 って答えたんだと。 そしたら旅の僧は今までの微笑から鬼のような形相に変わり 「笹町の血がまだ途絶えていないのか!」 って叫んだんだと。子守女は突然のことにびっくりしてなぁ、そしたら急に子守女に背負われてた男の子が急に苦しみだしてなぁ、あわてて屋敷んなかさ入って主人に報告しようとしたんだと。そしたら中は中で奥方も急に苦しみ出してなぁ、奥方、子供ともそのまま死んでしまったんだと。 この話を聞いた周りのもんはなぁ 「栄存法印の怨念がまだはれねえんだなぁ」 って噂しあったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
盗人神(実話)
昭和の初めのころの話なんだどもおっかあと三歳になるこどもがいたんだと。おっかあは薪をかりだす仕事をしていてなぁ、その間さこどもを草むらさ寝かせておいたんだと。 そしてふと草むらをみっとこどもがいなくなってなぁ、名前呼びながらそこらへんを探したんだども見つからなかったんだと。村の人や消防団にも協力してもらい山ん中も探したが見つかんなかったんだと。 あくる日、探す範囲を広くしたら山超えた部落の山の中腹さある岩の上に木の葉をひいて座っていたこどもをみつけたんだと。何でこんなとこさ聞いてみっと 「おっかあと一緒に寝た」 っていったんだと。村人は山女か狐の仕業だろうとはなしたんだってさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
盗人神(民話)
むかしなぁ、おっかあとその子供の二人で暮らす家があったんだと。おっとうは子供が生まれてすぐに死んでしまってな。子供はサクっちゅう名前でな、おっかあは暮らしていくために山さ木を切る仕事をしていてな、サクを連れて行くと足でまどいになるもんだから、いっつも近くの草むらさ寝かしたんだと。 ある日のこと、いつものようにおっかあはサクを草むらさ寝かして仕事していたんだと。仕事が終わってサクを寝かしたとこさ行くとな、そこにサクの姿はなかったんだと。おっかあはあわてて サクーーーー、サクーーーーー ってあたりを探したんだどもどこにも見当たんなくてなぁ、おっかあはそれから山超えて谷超えて、サクが行きそうもねぇところまで探したんだと。三日三晩探したんだどもぜんぜん見当たんなくてなぁ、どうにもなんねえって思ったときに上のほうから おっかーー、おっかーー って呼ぶ声が聞こえたんだと。おっかあが上を見上げるとがけの上のくぼみさサクがいてなぁ、おっかあはあわてて崖登ったんだと。くぼみには葉っぱをしきつめてあってなぁ、その上にちょこんとサクがいたんだと。 「なしておめぇはここさいたんだ。さみしかったろぉ」 っていうとなぁ、サクはけろんとして 「さびしくねかった。おっかあがいてくれたもん。おっかあが歌うたったり踊ったりして楽しかったあ」 っていったんだと。 この話を聞いた村人は 「神様がさびしがっている子供をつれて遊ばせたんだなぁ」 って祠を作ったんだと。それからこの祠を盗人神と呼ぶようになってなぁ、いまでも愛子のひっそりとあるんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
雪女(宮城県仙台市愛子)
ありゃあまだ明治の終わりのころ、わしが子供の話でのう。 わしは父さついていって大東岳ちゅうとこさ狩にでたんだども、いっこうに獲物を見つけることができねぇでいたんだ。そしていつのまにかあたりは暗くなってきて山を降りようとしたらあいにく雪降り出して、あっという間に吹雪になってしまったもんでなぁ。わしは父の着物をつかんで歩いていったんだ。 あと少しで降りることができるってところでなぁ、不意に父がわしの耳元で 「雪女が来た。静かにして決して声を出すんではねぇぞ」 っていってなぁ。 父の背中からそっとのぞいてみっと青白いほっそりした顔に白い着物をきた女がいるもんでなぁ。父はわしをつれて一気に駆け下りて集落の光が見えるところまで急いでいったんだ。 あとになって聞いてみっとなぁ 「雪女に道を譲ったり後ろに逃げたり声をかけたりすると、雪女に魅入られて命がねぇぞ。助かりたいんなら体当たりするように一目散に走るしかねぇんだ」 って言ったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |


