雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第六話 淵よもやまばなし その2 藤助淵
「藤助淵」


賢淵から少し下ったとこになぁ、これまた深い淵があったんだと。

ある日、藤助という若もんが淵で釣りをしていたんだと。
そしたら

「藤助…、藤助…」

と声がするもんだから、まわりを見渡したんだと。んだけどまわりには誰もいないんで、また釣りをはじめたんだと。

そうしたら、またまた

「藤助…藤助…」

って、声がするんでよーく耳をすましてみると水面から聞こえてきたんだと。

「藤助は俺だが、なんか用か」

って叫ぶと、淵から声が聞こえたんだと。

「おれは昔からこの淵に住んでいるうなぎだが、明日の晩に賢淵の蜘蛛が攻めてくる。声を立てられると俺が負けてしまうからけっして声をたてるんでねぇど」

と言ったんだってさ。

あくる日の晩、淵ではうなぎと蜘蛛がすさまじい戦いをしていたんだと。藤助は隠れてその様子を見ていたんだけど、あまりの恐ろしさに思わず

「あっ」

と声をあげてしまったんだと。藤助が声をあげてしまったもんだからうなぎは負けてしまい、首をちょん切られたんだと。
その首が藤助の目の前に飛んでいき恐ろしい形相で藤助を見つめていたんだってなぁ。
それからというもの藤助は気がちがってしまい、とうとう死んでしまったんだと。

それからというものこの淵を藤助淵と呼んでいるんだとさ。
【2005/11/15 17:12】 | 民話(仙台市青葉区) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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