雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第三十八話 地蔵よもやまばなし お捨地蔵
お捨地蔵


むかしなぁ、それはそれは広い沼があってなぁ、夏になると蓮の花が沼一面に咲いていたんだと。蓮の花はこの世とは思えねぇほどきれいなんだども、いつの頃からかはしらねぇけんどもこの蓮を取ると死んじまうといわれてなぁ、誰もこの蓮を取ろうとしなかったんだと。

そんなある日のこと、近くに住む長者どんの娘であるお捨てと召使いが沼にやってきたんだと。お捨はそれはそれはきれいな娘でなぁ、蓮の花の美しさにも負けねえぐらいだったと。

お捨は蓮の花を眺めるうちにどうしても蓮の花がほしくなってなぁ、お捨は召使いの言うこともきかねえで沼のほとりにいって蓮の花を取ろうとしたんだと。お捨が蓮の花に手を伸ばして取ろうとするとなぁ、水面に見る見るうちにいくつもの波紋ができたんだと。あんまりにも波紋が多いもんだからお捨は目を回してなぁ、ざぶーんって池ん中に落ちてしまったんだと。慌てて召使いがお捨の名を叫びつづけてもなぁ、お捨は沼から這い上がるどころかどんどん何かに魅入られたように沼の奥に行ってなぁ、そのまま戻ることはなかったんだと。

それからというもの、その池には夜な夜な火の玉が出るようになってなぁ、村のもんはお捨の怨念だと思ったもんだから、近くにお地蔵様を奉ったんだと。それからというものこのお地蔵様をお捨地蔵と呼ぶようになったんだと。



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【2006/02/19 22:42】 | 民話(仙台市太白区) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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