胸割阿弥陀
むかしなぁ、充国寺のえらい和尚さんが京都から仙台の寺さ戻るときのことだったんだ と。木曽の山道を歩いてなぁ、帰りを急ぐあまりに夜になってもそのまま歩きつづけた んだと。そうしたら木の影から突然追いはぎがでてきてなぁ、金目のもんを置いていけ って脅したんだと。和尚さんはなぁ 「みぐるみをおいていってもいいが、そんなことをやっていると人間には業というもん があってな、おまえさんはいずれ地獄に落ちるぞ」 っていったんだと。そうしたら どーーーん って雷が近くの木に落ちてなぁ ばりばりばりばり、 って木が倒れだしてちょうど追いはぎのに向かって落ちたんだと。追いはぎは逃げるひ まもなくてなぁ、きに押しつぶされて死んでしまったんだと。 和尚さんは哀れに思いお経を唱えたんだどもな、数々の仏様をみてきた和尚さんでも死 んだ追いはぎの目があまりにも鋭えもんでなぁ、帰る途中も頭からはなれねぇもんで ずっとお経をとなえながらやっとこさ充国寺に戻ったんだと。 和尚さんが寺のおつとめをしているとな、檀家さんで子供が産まれたんでお祝いに檀家 さんの家に行ったんだと。どんなにかわいい子かと顔をのぞいてみるとな、赤子の目は 和尚さんを襲った追いはぎの鋭い目だったんだと。和尚さんはそれから来る日も来る日 も赤子の鋭い目を振り払うようにお経を唱えたんだども、生かしておいたら悪人になる と思ったのか乱心したのかわからねえが、とうとう赤ん坊を殺してしまったんだと。 いくら徳の高えお坊さんでも、罪のない赤ん坊を殺すのは重罪に値するもんでなぁ、結 局市中引き回しのうえはりつけになることになったんだと。 処刑される日、和尚さんは市中をひきまわされることになってなぁ、通る道には充国寺 の門前も加わっているのでお寺の小僧さんたちがご本尊を持ってまっていたんだと。し ばらくすっと、処刑場に向かう馬の上に乗せられた和尚さんが目の前を通ってなぁ、小 僧さんたちがわんわん泣いていると、持っていた阿弥陀様の胸がパチン、と音がしてさ けてしまったんだと。 阿弥陀様の胸を修理に何回もだしてみんだけどもなぁ、本堂に安置したとたんにパチン、 ってさけてしまうんだと。その阿弥陀様は「胸割阿弥陀」と呼ばれて今でも充国寺のご 本尊であるんだとさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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