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第五十五話 木流掘

木流掘


むかしなぁ、政宗公が城をたてて仙台を色々と工事していたんだと。町中に家を作ったりしていたんだども、だんだん家を建てる木が少なくなったもんでなぁ、なにしろ近くの木はほとんど使ってしまったもんだから、遠くから木をもってこようとしたんだども、運ぶのにそれぇりゃあえらい手間ひまがかかるもんでなぁ、どうにかして簡単に運ぶ方法はないものかとまいにちまいにち考えていたんだと。

そんなある日政宗公の家来で川村孫兵衛っちゅうもんがなぁ
「町の近くにまで堀をほって木を流すというのはいかがでしょうか」
って進言したんだと。はた、と手を打ち政宗公は
「そうか、それならばその工事すべてをそなたにまかせる」
っていったんだと。

あくる日から孫兵衛は大勢の人足と一緒に山のほうから町のほうまでほりはじめたんだと。まいにちまいにちほってなぁ、ついに山から町のほうへ続く堀ができたんだども、まだまだ浅くしか掘っていねぇもんだからでっけぇ木を流すにはまだまだ掘らねばならなかったんだと。
そんなあるひ、政宗公が堀がどれだけほれたか見にいくことになってなぁ、まだまだ完成していねぇもんだから孫兵衛はあわててしまったんだと。ためしに水をいれてみるとなぁ、孫兵衛のひざぐらいしか水が流れなくて困っていたんだと。

そうこうしているうちに政宗公が堀さやってきてなぁ、色々と聞いたんだと。そしたら案の定
「孫兵衛、この堀の深さはどのくらいじゃ」
って聞くもんだからなぁ、孫兵衛はとっさに堀さ飛び込んで
「殿、深さはこのぐらいでございます」
って自分の背丈で深さを見せたんだと。政宗公が見てみっと水が孫兵衛のあごさくっつくかどうかぐらいに見えたもんでなぁ
「あっぱれじゃ、よくやった孫兵衛」
とほめて城さ帰ったんだと。

孫兵衛はなぁ、水さ飛び込んだときに水ん中であぐらをかいていたんだと。んだから政宗公は堀が深いようにみえたんだとさ。
後日、このことを政宗公は知ったんだども孫兵衛の知恵に感心してなぁんもおとがめはなかったんだと。
その後、堀は完成してなぁ遠くの山から切り倒した木を掘を使って仙台の町さ運んで行ったんだと。んだからこの堀を木流掘っていうんだと。
そして孫兵衛は町の開発や北上川の工事など工事の一切を任されるようになったんだとさ。


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