雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第九話 宮千代塚 その1
「宮千代塚」


むかしなぁ、松島のある寺に宮千代というそれはそれは美しい顔立ちの少年がいたんだと。少年の名は宮千代といってな、たいへん歌を詠むのがうまかったんだと。
そんなもんだから、京にのぼって歌の修行をしたいと考えていたんだと。だけんども歌の師である上人に

「まだ、おめぇには早すぎる。もう少し待つがいいべ」

といってたしなめられていたんだと。
んだども宮千代は思いあまり、上人に内緒で松島を飛び出して京へ向かったんだと。

宮千代が京めざし歩いてくと、夜もふけた頃に宮城野原についたんだと。そうしたら、広い野原一面に咲く萩の花が月の光に照らされて、それはそれは宮千代の心を振るわせたんだと。
そこで宮千代は筆を取り


「月はつゆ 露は草葉に宿かりて」


と上の句を考えたものの下の句がどうしても出てこなかったんだと。まいにちまいにち宮城野原を眺めながら

「月はつゆ 露は草葉に宿かりて…」

と下の句を考えているうちに、とうとう死んでしまったんだと。

里のもんは宮千代を哀れに思って塚を作って葬ったんだと。そうしら、毎晩毎晩

「月はつゆ 露は草葉に宿かりて  うおーん…」

って、宮千代の亡霊が泣きながら歌を詠んでいたんだと。この噂を聞いた上人はある晩に宮城野原にやってきたんだと。そしたら宮千代の亡霊が

「月はつゆ 露は草葉に宿かりて  うおーん…」

と、うたうので上人はすかさず

「それこそそれよ 宮城野の原」

と、下の句を付け加えたんだと。そうしたら宮千代の亡霊は下の句に満足し、成仏したんだと。



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【2005/11/21 17:30】 | 民話(仙台市宮城野区) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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