雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第十話 地名よもやまばなし 芋掘り長者
「芋掘り長者」


むかしなぁ、いっつも仕事しねぇで気が向いた時に山ん中に入っては芋ばっかり掘っている男がいたんだと。村のもん達も働くようにうながすんだけども、男はちぃーとも聞く耳もたないんだってさ。

そんなある日のこと、男がいつものように山から芋掘って帰ってくると家の中に一人のおなごがいたんだと。男が尋ねてみっと、

「私は一つ山を越えた村のものです。観音様に願をかけていましたところ、ある夜の夢枕に山を越えた村に芋を掘っている男がいるからそのものと結ばれれば幸せになる、とお告げをいただきましたのでお世話になります」

と言ったんだと。男は追い返そうともしたんだけども、観音様のお告げならしかたねぇべなぁ、と思い家におくことにしたんだと。

嫁は朝早くからおきては炊事洗濯をし、夜遅くまでおきては内職をして家を支えていたんだと。それでも男は気が向いた時に山に入っては相変わらず芋を掘っていたんだと。

ある日のこと嫁の実家から不自由しないようにと砂金が袋に入れて送られてきたんだと。
男はそれをもって外を歩いていた時のこと、川に雁がいたんで男は捕まえようとして石を探したんだども、近くに手ごろな石が落ちていないもんだから砂金の入った袋を投げたら、袋は川ん中に落ちてしまったんだと。それを聞いた嫁はたいそう悲しがってなぁ、

「あれがあれば米やら着物やら買えたものをなんてもったいないことするんだ」

っていったれば男は平気な顔して、

「あんなものでよければ芋掘りに行けばなんぼでもてれるべ」

と言って、男は嫁をつれて山ん中に入ったんだと。山の奥深く沢に近くで芋を掘ると、掘ったところの下にそれはそれはたくさんの砂金があったんだと。
男と嫁は芋を掘りにいくたびに掘った跡にある砂金を近くの沢で洗ってもって帰ったんでたちまち金持ちになったんだと。男は芋掘り長者と呼ばれてな、金を沢で洗ったからその場所を「金沢」と呼ぶようになったんだと。今の石川県金沢市の由来なんだってなぁ。



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【2005/11/24 17:37】 | 民話(東北以外) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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