雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第七十五話 お岩木山
お岩木山


むかしなぁ、津軽の国吉っちゅう所にひとりのおばあさんが住んでいたんだと。あえる朝のこと、まだお日様ものぼんねぇうちに目さまして外さ出たんだと。そしたら突然目の前が、ごごごおごごごおって音しだしてなぁ、地面がだんだん盛りあがっていったんだと。
おばあさんはおもわず
「あれまぁ」
って叫んでしまったんだと。そしたら山はばあさんの声に気がついてあわててぴたっって止まってしまってなぁ、それっきり動くことはなくなったんだと。

そんなお岩木山には鬼が住んでいてなぁ、毒蛇なんかをとる役目をしていたんだと。
んだども、腹が減ると山を下っては人間の子供をさらって食べていたもんだからなぁ、村の人々はたいそう困っていたんだと。これを天の観音菩薩さまは哀れに思ったんだと。そして観音様は鬼を呼び出してなぁ、
「お前を岩木山につかわしたのは毒蛇の害を取り除くためであり人間を襲えとはいっておらんぞ」
ってきつく戒めたんだと。
そしたら鬼は
「しかし観音様。私は人間を食べなければ生きていけません。」
ってなぁ、観音様はしばらく考えると
「それならば岩木山に今から日が昇る前に山をこしらえることができたら許してやろう。だがな、土をはもっこをかついで運ぶんだぞ。決して神通力を使っちゃなんねぇぞ」
っていったんだと。

鬼はお安い御用と土や石ころをもっこに乗せて岩木山のまずは右肩をつくってなぁ、右肩ができあがっと今度は左肩を作り始めたんだと。左肩もあと少しで出来上がるもんでなぁ、鬼も喜んでいたところ太陽が顔を出し始めてしまったんだと。
山が完全に出来上がっていねぇもんだから鬼は悔しがってなぁ、岩木山を離れていったんだと。
んだから今でも弘前から見るお岩木山は左肩が少し低いんだとさ。


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【2006/05/25 18:27】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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