藤田丹後
ありゃあ徳川様がキリシタン狩りを始めたころの話でなぁ。 むかしなぁ、藤田丹後っちゅうお侍さんが住んでいたんだと。藤田は禁止されてたんだどもひそかにキリシタンを信じていたんだと。そしたら、それがばれてしまって大仰寺に逃げ込んだんだと。 藤田を捕まえるのに伊達様は松山城の藩主に命じたんだと。松山公は藤田と仲が良くてなぁ、悩んだんだども仕方ねえんで家来10人ぐれえを大仰寺の周りをぐるっと囲んだんだと。そして和尚さんに橋渡し役を頼んでことを荒立てねぇですまそうとしたんだと。 そしたら藤田は 「わしは逃げようと思えばいくらでもにげれるが、松山公には恩があるのでおとなしく縄につこう」 っていって家来たちの前に現れたんだと。 そして家来が捕まえようとしたときに 「まぁまて、わしが一度縄につくとわしの奇術をみることができなくなる。今日が最後の奇術だからそこに座ってみておれ」 っていうとな、なにやら印を組んで呪文を唱え始めるとな、座っていた所に波がざぶーーん、ざぶーーん、って押し寄せてなぁ、あっという間に海になったんだと。 座っていた家来たちは驚いて寺の縁さあがってなぁ、そしたらこ藤田は釣竿を取り出して海さ投げ入れるとなぁ、すぐに手ごたえがあって一匹の大きな鯛をつりあげたんだと。それからは次から次へと魚を釣り上げてな、あっというまに山のようになったんだと。そして海水がどんどんひいてってなぁ、元の庭になったんで家来たちは再び庭におりたんだと。そしたら家来たちの刀がなくなっていてなぁ、みながあわてて探してみると、 「おのおの方どうした、刀ならほれ、そこに」 って見てみるとなぁ、先ほどまで魚の山があった所に家来たちの刀があったんだと。 藤田を網籠にのせて寺を出るとなぁ、しばらくして後ろから 「おーーーい」 って呼ぶ声が聞こえたんだと。振り返るとそこには後ろから息切らしてこちらに向かって走っている藤田がいてなぁ、 「ちょっと忘れ物をしたので、籠を寺へ戻させるのもしのびないので駆け足で寺さ 戻った。もう、籠から抜け出すようなことはしないから安心してくれ」 ってなぁ、家来たちはただただ口をあけるばかりだったんだと。 翌日、刑場で藤田の首に刀をおろすとなぁ、確かに切った手ごたえはあったんだどもそこには藤田の姿はなくてなぁ、それ以来藤田の姿を見たもんはいなかったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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