雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第七十七話 津軽と仙台のお殿様
津軽と仙台のお殿様


むかしなぁ、伊達のお殿様が江戸さ行った時のこと。城ん中でばったりと津軽のお殿様と伊達のお殿様が出会ったんだと。二人ともたいそう意地っ張りなんだと。

まずは津軽のお殿様が
「わしの国にはものすごく高くてだきかかえることができねぇハギの木があるんだ」
っていうんだと。ハギの木は細いからハギの木であってな、なんぼなんでもそんな木なんてねえもんでなぁ。
「しからばぜひみてみたいものよ」
って、伊達のお殿様はわざわざ津軽さ行ったんだと。津軽のお殿様は伊達のお殿様を一本の木の前さ案内してなぁ。
「さぁ、これがハギの木だ」
って言うんだと。伊達のお殿様がよくよく見るとサイカチの木でなぁ。
「これはハギの木でねぇ。枝にサイカチの実がなってる」
っていってもなぁ、津軽のお殿様は平然と
「ひとつふたつのサイカチの実がついていたってこりゃあハギだ」
って譲ろうとはしなかったんだと。

伊達のお殿様も黙ってらんねぇからなぁ、
「わしの国のお不動様はすわっているぞ」
って言うんだと。お不動様はたっているからお不動様でなぁ、座ったお不動様だなんてあるわけねえと津軽のお殿様は思ってなぁ、
「ならば今すぐみにいくべ」
って籠をだして伊達のお殿様の所さいったんだと。城へ向かう途中の本吉山さよってなぁ、籠から降りて二人のお殿様はお不動様の前さたったんだと。見てみるとお不動様はたったままでなぁ、津軽のお殿様が怪訝そうな顔をした時
「お不動様、座ってくれ」
って伊達のお殿様が大声で言うとなぁ、お不動様は二人のお殿様をにらんだまま静かに座ったんだと。

お殿様の意地の張り合いはおっかねえもんだったよく言ったもんだ。


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【2006/05/29 18:38】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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