雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第七十九話 猩猩ヶ池
猩猩ヶ池(しょうじょうがいけ


「猩猩ヶ池(その1)」

多賀城の八幡ちゅう所の田んぼの真ん中に小さな池があったんだと。その池を猩猩ヶ池とよんでなぁ、こんな話があるんだと。

むかしなぁ、八幡の酒屋さこさじっちゅう下女がいてなぁ、客さ酒を売っていたんだと。客の中には顔が真っ赤で体中に毛が生えた猩猩がやってきてなぁ、いっつも酒を飲むしぐさをしていたんだと。そん時にこさじはいっつも盃さ酒をついで猩猩さ飲ませてなぁ、猩猩は真っ赤な顔がさらに真っ赤っかになってたんだと。猩猩はお代のかわりに盃に自分の血をすこぉしたらして帰っていくんだと。猩猩の血は高価なもんでなぁ、売っては金をたくさんの銭っこをもらったんだと。

んだども酒屋の主人は欲深いもんでなぁ、猩猩を殺してしまえばたくさんの血をとることができるから銭っこがたんまり手に入ると思ってなぁ、さっそく殺す手立てを考えていたんだと。

これを知ったこさじは猩猩を哀れにおもってなぁ、酒飲みに来たときに
「猩猩やぁ、うちの主人がおめえさんを殺そうとすっからもううちさ酒を飲みにこねぇほうがいいべぇ」
っていったんだと。そしたら猩猩は
「もしもおらが殺されたら三日もたたねぇうちに津波がくっから、おめえさんは末の松山さ登ってにげてけろ」
っていったんだと。

猩猩は好きな酒はやめることができねぇもんでなぁ、あくる日も酒屋に行ったんだと。そしたら主人が出てきて猩猩さたんまり酒をすすめたんだと。猩猩は酒が好きなもんでなぁ、次から次へと進められるままに飲んでついにはぐーすか寝てしまったんだと。その隙に主人は猩猩を殺してしまってなぁ、猩猩の血を抜き取ったあと池に死体を捨ててしまったんだと。

次の日、こさじが外さでてみるとなぁ、なんとも不気味な黒い雲が当たり一面を覆っていたもんだからな、猩猩から言われたことを思い出して急いで末の松山さ逃げ出したんだと。こさじが末の松山を登り終えるとなぁ、でっけぇ津波が八幡の町を多いつくしてなぁ、あっというまに家やら人やら流されてしまったんだと。

それからというもの、死体を捨てた池を猩猩ヶ池と言うようになったんだとさ。

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「猩猩ヶ池(その2)」

むかしなぁ、八幡の町に一軒の酒屋があったんだと。そこには髪が赤く顔が真っ赤なまるで天狗のような異人がやってきては酒を飲んでいたんだと。んだども村の衆はこの異人が気にくわなくてなぁ、異人を殺してしまう相談をしたんだと。

これを知った酒屋の近くさ住む老人は異人を哀れにおもってなぁ、こっそりとこのことを教えたんだと。んだども異人は酒が飲みてぇってきかなくてなぁ、そのまま酒屋さ行っはたらふく酒を飲んだんだと。

その帰り道、待ち構えていた若い衆に襲われてなぁ、全身血だらけになりながら逃げ出して老人の家さ駆け込んだんだと。
「わしはもう長くはない。わしの屍を近くさある池に沈めてくれ。そうすれば6日後に大きな津波がやってくっから、おめえさんは末の松山さ逃げろ」
っていうと事切れてしまったんだと。

老人は言われたとおりに異人の屍を池さなげいれたんだと。そしたらにわかに雲行きが怪しくなって、6日目に大きな津波が八幡の町を襲ってなぁ、人やら家やらを飲み込んでしまったんだと。んだども老人の一家は末の松山さ逃げていたもんだから助かったんだってなぁ。


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【2006/06/03 18:48】 | 民話(宮城県仙台市以外) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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