はだか武兵
むかしなぁ、中仙道中津の宿の西生寺っちゅうお寺の大銀杏の根元にある祠んとこさ一匹の女狐が住んでいたんだと。女狐は暇で暇で仕方なくてなぁ、なんか面白いことでもねえかって思っていたんだと。そしたらそこさ二匹の男狐がやってきて 「そんなら疫病でも流行らせっぺ」 っていったんだと。この話さ女狐ものってそれからというもの毎晩毎晩大銀杏の下でこんこんちきちきって踊りはじめたんだと。そしたらあたりの部落さ疫病が流行りはじめて村のもんは困ってしまったんだと。 ある晩、村の男が女房の疫病が直るように西生寺さお参りしたんだと。その帰り道さなぁ大銀杏の方からなんだけ変な声が聞こえてきたんだと。こっそり近くさよってみると三匹の狐が奇妙な踊りをしてなぁ こんこんちきちきこんちきちき はだか武兵にゃ知らせるな はだか武兵がこんように こんこんちきちきこんちきちき ってなぁ。これを聞いた男は武兵っちゅう男を探しはじめたんだと。男は武兵を探しだすと女房の枕元さ連れてったんだと。そして男を部屋の外さ出して武兵がなんかごにょごにょやりだすとな、女房がうなったかと思うと熱がすぅーっと下がってな、あっという間に病気が治ってしまったんだと。 これを聞いた村のもんは次から次へと武兵を呼んでなぁ、一軒一軒まわっては裸で枕元さ座っては病気を治したんだと。女狐はせっかく流行らした疫病が治されてしまうんで祠のなかさ引っ込んでしまったんだと。 武兵が疫病を治せるにはこんなことがあってからなんだと。 武兵が木曽からの帰り道、夜もすっかりふけてしまったもんだからしかたねえんで目の前さある神社で一夜を過ごすことにしたんだと。そしたらそこには一人のおじいさんがいてなぁ、武兵に声を掛けたんだと。 「わしゃあ疫病神じゃ。ここでおうたの何かの縁。わしの兄弟分にならんか。わしが誰かに取り付いて病気にさせる。そこにおまえが来たらわしは退散するというわけじゃ」 ってなぁ。それを聞いた武兵はなにやら面白そうだったんで兄弟分になったんだと。 そんなことがあってから武兵は病気を治せるようになったんだと。んだども一度だけ手こずったことがあってなぁ。 大久手の宿さ泊まっているお姫様が重い病気にかかってしまったんだと。その時に武兵が呼び出されて枕元さ座ったんだどもいつまでたっても熱が下がる様子はなかったんだと。一晩たってようやく熱が下がってなぁ、あとで疫病神さ聞いたら 「あんなかわいい姫様なら長居をしたくなるもんだ」 ってなぁ。 姫の病気を治したんでお殿様がなんでも褒美を取らっていったんだと。んだども、武兵は 「わしは見てのとおりはだかですので何もいりません」 ってそのまま引き上げたんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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