狐とり弥左衛門その2
むかしなぁ、仙台の川内ちゅうところに勝又弥左衛門っちゅうお侍さんがおったんだと。弥左衛門は狐とりの名人でなぁ、たくさんの狐を退治したんだと。前にも話したけんども古狐から、時には明神様のお告げを伝えに来た白狐まで命を落としてしまうほどでなぁ、誰からともなく「狐とり弥左衛門」ってよばれるようになったんだと。 弥左衛門は鼠を油で揚げて、狐がよだれたらしそうな秘密のにおいを漬けるんだと。それに米糠を炒ったものと一緒に袋さ入れてなぁ、狐がいそうな山ん中さぶんぶん振り回しながら入っていくんだと。そうすっと炒った糠が落ちてなぁ、そのにおいにひきつけられて狐は糠の跡をたどって弥左衛門の屋敷さ入ってまんまと罠にかかってしまうんだと。 んだから「勝又弥左衛門」ちゅう札を家さ貼ったり、懐さ入れておけば狐はよりつきもしねえから化かされる心配がなかったんだと。 んでいつのころじゃったかのぅ。東街道のわきさある藪さ一匹の狐が住みついてなぁ、道をゆくい人をだましたり、農家の大事な作物を食い散らかしたりとそりゃあすき放題やっていたもんで村のもんは困ってしまってたんだと。 あいにく弥左衛門は父親の喪にふくしていたんだども、藩からのじきじきの命がくだったもんだからさっそく鼠を油で揚げて捕まえる準備をしていたんだと。 そこさ、世話になってる坊さんが尋ねてきてなぁ 「そなたは藩の命令で悪狐を退治するらしいが、父上の七々日もすぎないうちに殺生をおこなうとはなにごとだ。なき父上の後生を願わくばやめなされ」 と忠告してなぁ、弥左衛門は普段から世話になっているもんだから承知したんだと。 そしてお昼も近かったもんだから坊さんに飯やら酒を振舞ったんだと。んだども坊さんはいつもに比べてよく食うわ、よく飲むわでなんだか様子がおかしかったんだと。弥左衛門はこっそり席をはずすと門の外さ油鼠と罠を仕掛けて何食わぬ顔していたんだと。 坊さんを見送りだして部屋さ戻ると庭のほうからぎゃーーーと悲鳴があがったもんでなぁ、いってみっと坊さんが罠さかかって狐の正体を現していたんだと。 やっぱ弥左衛門にゃあかなわねえなぁ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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