狐とり弥左衛門その3
むかしなぁ、鯰江六太夫っちゅう笛の名人がいたんだと。六太夫は仙台藩に伝わる鬼一管っちゅうそのむかし鬼一ちゅう笛の名人が吹いていた笛を預かるほどそれはそれは笛の名人だったんだと。 んだども六太夫はある事件のとばっちりをうけてなぁ、鯵島ちゅうところさ島流しになってしまったんだと。六太夫は笛を懐さしのばせて鯵島で一人寂しくくらしていたんだと。 六太夫は毎日夕方さなると浜さでては一人笛を吹いていたんだと。そしたらいつのころからかひょっこりわらしっこがやってきてなぁ、まいにちまいにち六太夫の笛を聞いていたんだと。 そんなある日のこと、いつものように六太夫が笛を吹き始めようとするとな、わらしっこは涙をながしてなぁ 「六太夫さまの笛を聴くことができるのも今宵までです。私はこの島に住む狐でございます。明日になるとこの島に弥左衛門という狐とりの名人が領主の獲物である狐をとった罪でこの島に流されてきます。」 っていうんだと。六太夫は 「前もってやってくるのがわかるんなら逃げることもできっぺ」 っていうんだども、わらしっこは 「いや、弥左衛門の前では私の神通力も失せてしまいます。今宵はお礼に源平合戦をお見せいたしましょう」 っていうとなぁ、弥左衛門の周りはたちまち海になり多くの舟が目の前に現れてなぁ、矢が飛び交い掛け声がこだましたんだと。そして合戦が終わると元の浜にもどったんだと。そしたらわらしっこは最後に 「これこれこの日にこの浜で笛を吹きなさい。いいことがありますよ」 っていうとどこかへ行ってしまったんだと。 次の日、鯵島さ狐とり名人の弥左衛門がやってきてなぁ、さっそくこの島さ古狐がいることを聞くと罠を仕掛けたんだと。狐は七度罠をかいくぐったんだども八回目でついに捕らえられてしまったんだと。狐はでっけえ白狐でなぁ、弥左衛門でもなかなかお目にかかることがねぇぐらいの大物だったんだと。 六太夫は不憫に思ったんだどもわらしっこに化けていた狐に教わったとおり、いわれた時間に浜さでて笛を吹いたんだと。 ちょうどその時に藩主様が遠く海を隔てた磯へやってきていたんだと。そしたらどこからともなく笛の音が聞こえてきてなぁ、あまりにもいい音色だったもんで家来に探させたんだと。そしたら遠く三千里もの海を隔てた鯵島から吹いているってことがわかりびっくりしてなぁ、こんな笛の名人を島流しにしたことを後悔してただちに呼び戻したんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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