雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第八十七話 なっちゃみ屋敷
なっちゃみ屋敷


むかしなぁ、亘理の長健寺ちゅうところにでっけえ樅の木がはえていたんだと。そこを夜とおろうとするとなぁ、なんとも悲しげな声で
「おぶさってー、おぶさってー」
ってこの世のもんとはいえねえ不気味なうなり声が聞こえてなぁ、夜になると誰も樅の木の前を通ろうとはしなかったんだと。

ある日のこと、そんなら俺が正体見届けてやろうって肝っ玉のふてえ男がいてなぁ、夜になっと酒の力を借りて長健寺の樅の木さ向かったんだと。だんだん樅の木に近づくとなぁ、
「おぶさってー、おぶさってー」
って不気味なうなり声が聞こえたんだと。男は
「そんなにおぶさってーなら俺の背中さおぶされ」
って大声を出したんだと。そしたら背中さどさっと、なんかがおぶさってきたんだと。それはそれは重かったんだども男は正体を見届けようとおぶさったまま家さ戻ったんだと。家さ帰って明かりをつけてみっとなぁ、おぶさったもんは大きな袋でなぁ中を開けてみっと、中さまぶしいぐらいに輝く金がぎっしりつまっていたんだと。

男は一夜にして金持ちになってなぁ、豪勢な屋敷をたてたんだと。その屋敷をまわりのもんはなっちゃみ屋敷って呼んだんだと。「なっちゃみ」っちゅうのは「泣きやみ」って意味なんでなぁ。
そうそう、男におぶさってからというもの樅の木のうなり声はぴたっとやんだんだとさ。


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【2006/06/18 19:29】 | 民話(宮城県仙台市以外) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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