うわばみの恩返し
むかしなぁ、仙台に花渕善兵衛ちゅうおさむらいさんがいたんだと。ある日のこと、藩の命で江戸さ行くことになってな、花渕浜から舟で江戸へ向かうことになったんだと。 舟が出港して藤塚浜あたりの沖を走っているとなぁ、陸の方からごぉーー、ごーーってけものか何かのうなり声が聞こえたんだと。善兵衛は気になってな、周りがとめるのもきかねぇで舟を浜さつけてうなり声のするほうさ歩いていったんだと。奥へ奥へとすすむとなぁ、そこには喉を真っ赤に腫らして苦しみもがいていたうわばみがいたんだと。 ふつうなら驚いて逃げてしまうんだども善兵衛は怖がるそぶりをみせねえで 「どれどれ、いま直してやっからなぁ」 ってまるで人さ声かけるように話しかけっとなぁ、松の枝を折って先を鋭く尖らせっとなぁ、うわばみの口をこじ開けてのどさできてる腫れ物にぶすっ、って刺して悪い膿を取り除いてやったんだと。そのあと印籠さいれてた膏薬を傷口さ塗ってあげてなぁ、うわばみは大喜びで奥のほうさ消えていったんだと。舟さ残っていた人は善兵衛になにかあったんじゃねえか、って思っていたんだども善兵衛が無事に戻ってきて話を聞いて唖然としたんだと。無事舟は江戸さついて善兵衛も所要をおわらせて、仙台さ戻ったんだと。 ある晩のこと、善兵衛が寝ているとなぁ夢の中さきれいな女があらわれて 「私はあの時助けていただきました蛇です。命の恩人のあなた様にお礼にまいりました。毒蛇にかまれた時の治療薬とかまれない護符をさずけましょう。ただしこれは他の人には漏らしてはいけませんよ」 っていうんだと。 善兵衛はためしにうわばみさ習ったように護符と薬を作るとなぁ、毒蛇は近寄らないわ、かまれてもすぐに直るもんでなぁ近所でも評判になったんだと。善兵衛が噛み付いた蛇をしかるだけで蛇はこそこそ逃げ出したりしたんだと。 噂によると善兵衛ってかいた紙を蛇さかぶせるだけで動かなくなったり蛇が近づかねぇって話なんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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