おたからがめ
むかしなぁ、鰺ヶ沢の赤石ちゅうところさある沢さはいっところのがけの上さ城のあとがあるんだと。そこは眺めもよくきれいな川も流れているもんでなぁ、よくわらしっこの遊び場さなっていたんだと。 ある日のこと、平吉に多七に次郎作ちゅう三人のわらしっこが城跡さ遊びにいったんだと。んだども平吉は牛の番しなきゃなんなくてなぁ、多七はたきぎを集めなきゃなんなくて次郎作はヤマゴボウをほらねきゃなんねくてなぁ、まずは仕事を終わらせたんだども平吉の牛をどうにかしなくてなんなくてなぁ。適当につなぐ木を探したんだどもどこにも適当な木がなくてなぁ。しかたねぇもんだから多七のたきぎからてきとうなものを一本杭にして次郎作がヤマゴボウ掘るくわで埋めるために穴掘っ たんだと。 穴掘ってっとがきっ、って音がしたもんでなぁ。なんだべぇって掘り返すと瓶がでてきたんだと。瓶のふたを開けてみっとそこには泥や石ころにまじって小判が混じっていたんだと。そしたら平吉が 「牛つなごうと思ったのはおらだからこの小判はおらのものだ」 って言うんだと。そしたら多七は 「杭を打たなきゃみつからねかったんだから小判はおらのものだ」 ってなぁ。そしたら次郎作まで 「穴掘ったのはおらだから小判はおらのものだ」 って言い合い始めてなぁ、さっぱきまらなかったんだと。そしたら平吉が 「しかたねぇから三人でやまわけすっぺ」 っていったんだと。そしたら多七が 「んなら、大人になってからそうすっぺ」 ってなぁ。次郎作は 「それまで誰にもしゃべんねぇことにすっぺ」 ってことにして皆、家さ戻ったんだと。 んだども平吉は我慢できなくなってなぁ、その日の夜のうちさおとうにしゃべったんだと。平吉のおとうは喜んでなぁ、急いで夜のうちさ桑かついで掘りに行ったんだと。そしたら小判が十枚も出てきてなぁ、喜んで家さ戻ったんだと。 多七は一日は我慢したんだども二日目になってとうとうしゃべってしまってなぁ、多七のおとうが掘りにいったんだども、中は泥ばかりでなぁ。ようやくかき出して一枚の小判を見つけたんだと。 次郎作は三日間黙ってたんだどもどうしても我慢できなくて言ってしまったんだと。 次郎作のおとうが掘りにいったんだどもそこには小判はなく瓶しかなかったんだと。 何かの足しになるべ、と瓶を持って帰って泥を落とすとなぁ、そこには菊の紋章がついていてなんとも立派な瓶だったんだと。瓶を床の間さ飾ったらそれは立派なもんだったんだと。 んだどもその後、三人とも夜な夜なよろい武者が枕元に出てきてなぁ 「瓶を元さ戻せ。瓶を元さ戻せ。」 ってなぁ。平吉には見えなく、多七にはしゃべれなく、次郎作には聞けなくすっと、って脅したんだと。 そしたら本当に平吉はめくらに、多七はおしに、次郎作は聞かずになってしまったんだと。平吉のおとうは平吉の目を治すために十枚の小判使って京都から医者呼んだんだと。んだども直るのに十年もかかったんだと。多七のおとうは多七の声を直すために小判一枚つかって町の医者さ見てもらったんだと。んだども直るのに一年かかってしまったんだと。次郎作のおとうは次郎作の耳を直したくても金がねえもんでなぁ、村のゴミソさ瓶を渡して拝んでもらったんだと。そしたら三ヶ月でけろりと直ってしまったんだとさ。 その瓶をおたからかめって呼ばれるようになってなぁ、どこさいったかなぁ。 そうだそうだ、おめえの後ろさ・・・ まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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