赤倉山の大人
むかしなぁ、鬼沢村に弥十郎っちゅうお百姓さんが住んでいたんだと。あるとき山ん中さ入ったときに大人と気があってなぁ時々相撲をとったりして遊んだんだと。 ある日のこと、弥十郎がぽつりと 「新しく田畑を開いてみたんだども水が全然ねくてなぁ、夏になっと乾きあがって困ってなぁ」 っていうとなぁ、大人は 「そんならひとつおれが水を引いてやろう」 って行ったんだと。 次の日の朝、なんだかごうごうごうごう音がするもんでなぁ、弥十郎が外さでてみっと沢の谷さあふれんばかりの水がごうごうごうごう流れてなぁ、さっそく弥十郎は喜んで田畑さ水をひいたんだと。弥十郎が気になって水がどっからながれてくるのかたどってみっと赤倉の深い谷に行きついてなぁ、たくさんの大きな岩が打ち砕かれた跡があったんだと。あぁ、こりゃあ大人が水路作ってくれたんだなぁって。 あくる日、弥十郎はお礼をするために大人を家さよんだんだと。んだども大人のことは家族にもないしょなもんでなぁ、おくさんを外さやって一緒に飲んだんだと。 それからというもの大人は大きな鍬を振るっては弥十郎の手伝いをしていたんだと。 んだどもおくさんは時々外さ出されたり、水が突然沸いてでたりすることに不思議がってなぁ、田畑の堰さ隠れて様子を伺おうとしたんだと。 大人はそれに気がついてなぁ、 「おまえの妻にわしの姿を見られては神様にとがめられる。これからはここにはこないようにする。しかし、お前とは仲良く付き合ったからわしの身の回りのものを置いていこう」 って鍬や蓑を放り投げて山さ帰ろうとしたんだと。帰る時になぁ 「これからも村を守ってやるから端午には菖蒲を葺き、節分に豆をまいてはいけないぞ」 って行ったんだと。いまでも鬼沢村では大人の言いつけを守っているんだと。 そして鍬は鬼沢村の住人が、蓑は鬼神社にあるんだとさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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