馬の竹わたり
赤倉様は山さひとをよせつけねかったんだども、津軽のお殿様をよく助けていたんだと。 むかしなぁ、江戸のお城で馬術の競い合いをやってたんだと。そんなかで将軍様の家来が池の端から中島まで青竹二本を並べてその上を馬で往復する馬術を披露してなぁ、将軍様を始めまねかれた大名たちはやんやんや褒め称えたんだと。んだども、じょっぱり(がんこもの)でしられる津軽の殿様がなぁ、にやにや笑うだけだったんだと。将軍様がわけをたずねるとなぁ 「わしの国には一本の青竹で馬を操り中島さいかずに途中で引き返してくるものがおる。こんなのは褒めるに値しねぇ」 ってなぁ。またじょっぱりが始まったなぁ、って将軍様は思ってここは一つ困らせようと 「それならその家来を江戸に呼び寄せて見せてみよ。できなかった場合は切腹だぞ」 ってなぁ。じょっぱりな殿様はすぐに津軽さ早かご走らせてなぁ、家来に探しす命令をしたんだと。 家来たちはこまってしまってなぁ、これは赤倉様におすがりするしかねぇってんで薬王院の別当さいいつけてご神託をあおいだんだと。そしたら一人の家来の名をつげたんだども、その家来っちゅうのはうすのろでいままで一度も馬さ乗ったことがねえんだと。んだどもご神託なもんだからその家来を江戸さださせたんだと。 いよいよ曲乗りする前の晩、家来の枕元さ赤倉様がいらしてなぁ 「いいか、馬に乗ったらすぐに目を閉じて馬が竹さ足駆けたなら目をあけるんだ。目の前に金の御幣がみえるから目を放さずに前のほうをみていなさい。そうすればわたる事ができるぞ。決して橋を渡り終える前に誰にも話してはならないぞ」 てなぁ、家来さ告げたんだと。 あくる日、いよいよ将軍様を始め数々の大名の前で曲乗りをすることになったんだと。んだども用意された馬は年寄りのよぼよぼとた馬だったんだども、それさ乗るのもやっとのことでなあ。家来は馬さのったら赤倉様の言うとおり目を閉じたんだと。そしたら家来の背筋がぴーんとたって、馬も確かな足取りで一本の青竹の上をぱっかぱっか歩き始めたんだと。そして竹の真ん中ぐらいさなると、くるりと体を変えて引き返していったんだと。これには将軍様を始め大名たちはみな、いつまでも拍手がなりやまねかったんだと。 それからというものこの家来は急に賢くなってなぁ、おろそかにしていた馬術にも精を出して、立派な武士に取り立てられたんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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