猫報恩
むかしなぁ、といっても明治も終わりの頃のおはなし。気仙沼さ清竜庵っちゅう宝鏡寺の隠居寺があったんだと。そこには宝鏡寺を隠居した保田孝道和尚が一匹の三毛猫とともに余生を過ごしていたんだと。和尚は猫を我が子の様にかわいがってなぁじぶんでは食べない生臭ものをわざわざ猫のために工面して与えていたんだと。 んだども歳には勝てねぇもんでなぁ、病さ倒れて外さでれずにずっと寝込んでいたもんだからみいりがなくなってしまったんだと。んなもんだから門前さ住む檀家さんのほどこしでその日その日をすごしていたんだと。 ある日のこと、和尚が朝起きると枕元さ鶏の卵が四、五個ころがっていたんだと。そのとき門前の婆がやってきたもんで尋ねてみたんだども、しらねぇっていうんだと。和尚が不思議がっているとなぁ、次の日もそのまた次の日も朝起きっと鶏の卵が枕元さ転がっていたんだと。 ある日のこと、檀家の割烹の主人が和尚の見舞いにやってきたんだと。和尚と主人はあれこれはなすうちに、和尚はふと枕元さ転がっている鶏の卵の話をしたんだと。 これを聞いた主人はいいにくそうになぁ、 「実は私の店から最近卵がなくなっているのですよ。注意してみているのだが」 って不思議そうにいったんだと。そしたら部屋の隅さちょこんと丸まっていた猫がこそこそ部屋を出て行ってなぁ、これをみた主人は改めて卵を見てみたんだと。そしたら卵さ爪で引っかいたような傷やら猫の毛がついているのをみてなぁ、 「和尚さん、わかりましたよ。これはあなたが大事になさっている猫の恩返しに違いない」 っていったんだと。そしたら和尚は猫のいじらしさに感激したんだども 「二度とこんなことするんじゃないぞ」 って頭を撫でて戒めたんだと。 和尚さんはそれから半年後に亡くなったんだどもそのころから猫も寺から姿を消したんだど。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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