杉のお伊勢参り
師走も迫ったころのはなしなぁ、お杉という娘っこがひとりでお伊勢参りをしたんだと。伊勢神宮について社前で祈りをささげてあとは帰るだけだったんだと。んだどもちーっとも社前の前から動こうとしねぇもんでなぁ、別当さんが気になって声をかけたんだと。そしたらお杉は 「私ははるばる奥州の早瀬関からお伊勢参りに来ましたが、お金がそこをついてしまいかえろうにもかえれないのです。どうか旅費を貸してください。国に帰れば必ずおかえしいたします」 ってなんべんもなんべんも頭を下げて頼んだんだと。これをみた別当は気の毒におもってな、お杉さお金を貸したんだと。お杉は喜んであつくお礼をのべると関さかえっていったんだと。んだどもそれから別当の所さ何も返事がねぇまま三年すぎてなぁ。 ある日のこと、別当がお札を配るために関へ行ったんだと。そして本陣さ宿をとり主人の渡部勘兵衛にお杉という娘っこのことをたずねたんだと。んだども勘兵衛はお杉のことを知らなくてなぁ、他の村のもんさも訪ねたんだどもだれも知っているもんがいなかったんだと。これは別当は騙されてしまったのかと思ってそのまま一夜をすごしたんだと。 あくるひ、別当が朝起きて屋敷の裏を歩いているとなぁ、大きな杉の木になにか光輝くものがぶらさがっていたんだと。なんだべなぁ、ってよくよく見てみると絹のふろしきさなにか包まっていたんだと。それを木さ登って中を見てみるとな、中さ伊勢神宮のお札と別当が貸したお金が入ってたんだと。 「狐や狸が化け物になる話はよく聞くが木が人に化けて神宮さお参りするのはめずらしいこともあるもんだ」 ってなぁ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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