大歳の火
むかしなぁ、ある店さ嫁っこが住んでいたんだと。嫁っこは嫁いだばかりだったんだどもあれこれと気がきく嫁っこだったんだと。その年の大歳のこと、姑さんが嫁っこさ、 「今年はおめえさ、火の番を頼むからな。けっして絶やしてはなんねぇぞ」 っていって嫁っこ以外はみんな床さ入ったんだと。 嫁っこは囲炉裏の前で灰をかき混ぜながら火の種が絶えねぇように、じっと番をしていたんだと。んだども大歳やら、正月の準備やらで忙しかったもんでな、ついついうとうとしてしまったんだと。嫁っこがはっ、っと気づいてなぁ、慌てて囲炉裏の灰をかき回したんだども火種が無くなっていたんだと。 嫁っこはどうしたもんだべ、っていい考えもなく外さ出て行ったんだと。歩いても歩いても何もいい考えが浮かばねぇもんで途方にくれていっと遠くの方さちらちらって焚き火が見えたんだと。嫁っこはわらにもすがる思いで焚き火の方さかけていくとそこにはいかつい顔した7人の男が焚き火を囲んでいたんだと。嫁っこは 「おねがいです、火種分けてくれませんでしょうか」 って頼んだんだと。そしたら男たちは 「おらたちの頼みを聞いてくれるんならわけてやってもいいぞ。実はおらの仲間が死んでしまったんだ。明日は正月だから葬式するわけにもいかねぇから、正月の間あずかってけろ。それなら火種をわけてやってもいい」 っていうんだと。嫁っこは死体を持って帰るのはとんでもねぇって思ったんだども火種のあてがねぇからしぶしぶ承知したんだと。嫁っこは死体を背中さ背負い家さ戻ったんだと。火種を囲炉裏さいれっと、死体をみつかんねぇように馬小屋ん中さあるわらのなかさ隠したんだと。 夜が明けて正月をむかえっとな、一家総出で囲炉裏を囲んで雑煮やらおせちやらを食べていたんだと。そしたら馬がなんだか騒がしいもんでなぁ、夫が馬小屋さ行ったんだと、そしたら夫が驚いた声で 「おーい、みんなこっちさこい」 っていうもんでな。嫁っこは顔を真っ青にして馬小屋さいったんだと。そしたらわらの中からまぶしい光が差し込んでくるもんでな、よくよく見てみっとそこには夫の背丈もあるぐれぇの金の塊があったんだと。お舅さんは朝から嫁っこがおちつかねぇかったもんだからわけを聞いてみたんだと。嫁っこも、昨晩の話をするとなぁ、 お舅さんは 「あぁ、それは七福神でなぁ。おめえさんを助けてやるためにあらわれたんだろう。それにおめえがまじめに働くもんだから宝を持たせたんだろう」 ってなぁ。それからこの家はますます暮らしがよくなっていったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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