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第百十話 磐二、磐三郎ばなし その2

磐二、磐三郎ばなし


前の続きじゃったのう。

あれから磐二、磐三郎はすくすくと育っていったんだども山寺から仙台の蕃山までの山々を勝手に自分の山だときめてなぁ、山を軽やかに走っては鹿でも熊でも軽々と捕まえてなぁ、時には人間に襲いかかったりもしたんだと。

ある夜のこと、蕃山のふもとさ雲居っちゅうぼうさんがそまつな庵を作ってすんでいたんだと。それに目をつけた兄弟はなぁ
「松島の瑞巌寺の雲居和尚なら名のある坊さんだからなぁ」
「そりゃありっぱなお宝がわんさかあるに違いねぇ」
って雲居和尚の庵さ押入って和尚の目の前さ刀を突きつけたんだと。んだども雲居はまったく意に介せず
「こんなところにおぬしたちが望むような宝はない。ほれ、これでも売れば金になるだろう」
って自分の法衣を脱ぎ捨てて兄弟さ与えたんだと。そして

先の世に 借りたる物を 今なすか この世で借りて 先でなすのか

って歌を詠んだんだと。これはなぁ、ものというものは自分のものであっても自分のものでねえから、この法衣もきっと前の世で借りたものだろう、だからお前たちに返すのかもしれなねぇ。お前たちもこの世で法衣を借りてまた次の世で誰かに返すことになるだろうなぁ、っていみだったんだと。

兄弟はその場を後にしたんだども和尚の歌の意味がわからなくてなぁ、二人は眠れで一夜を明かしたんだと。

「雲居和尚様は心ができている。それにくらべわしらは盗みを働いたり力を自慢するだけだ」
「わしらも雲居和尚の弟子にしてもらわねぇか」

って語り合ってなぁ。あくる日、ふたたび和尚の庵さ行き今までの悪行を改めることを誓って雲居和尚の弟子にしてもらったんだと。
今でも東蕃山の頂上さ雲居堂っちゅうお堂があって雲居和尚の木像の隣さ磐二、磐三郎の木像がおかれているんだと。

二人は雲居和尚のためさ立派につくすんだども・・・


続きはまた今度な



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