雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第百十二話 彦一とんちばなし
彦一の釣り


彦一がなぁ球磨川で魚釣りしてたんだと。そん時にひょこっと八代のお殿様があらわれてなぁ、わしにも釣らせろ、わしにも釣らせろって言うもんだから困っていたんだと。そしたら彦一は
「すこしもつれませぬ。それにえさの鯨の肉がなくなってしまいました」
っていったんだと。そしたらお殿様は
「そんなのお安い御用だ。すぐにもってこさせる」
って家来に言いつけて鯨の肉を持ってこさせたんだと。お殿様はまた見に来るからと言い残すとどこかに行ってしまったんだと。彦一は鯨の肉を籠ん中さひょいと隠したんだと。しばらくしてまたお殿様がやってきて
「彦一、どうじゃ、釣れたか」
って聞くんだと。そしたら彦一は
「一匹も釣れません、さっきから餌ばかりとられます」
っていったんだと。そしたらお殿様は
「よいよい、鯨の肉を持ってこさせよう」
って家来に言いつけてまた鯨の肉を持ってこさせたんだと。彦一はお殿様の目を盗んで肉を籠ん中に隠したんだと。そしてお殿様さ
「こんだけまってもいつ釣れるかわかりませんから釣れましたらお持ちいたしますので城でおまちくだせぇ」
ってなぁ。お殿様はそうかそうかってんで城さお帰りになったんだと。

彦一はのんびりと釣りをしているとなぁ、そこさ河童が現れて
「彦一どん、おらと相撲をすっぺや」
って言うんだと。河童ちゅうもんは人を見るとすぐに相撲をとりたがってなぁ、しまいにやぁ疲れさせて川さひきずるんだと。彦一は
「よしよし、かかってこい」
って河童と相撲をとり始めたんだと。彦一は組んではわざと負けて、また組まれてはわざと負けたんだと。そしたら河童は得意になってもう一番、もう一番って何度も何度も相撲をとったんだと。そしたら彦一は
「ちゃあんとお辞儀をしてから相撲すっぺ」
っていったんだと。河童はその言葉につられてひょいとお辞儀をしてしまったんだと。そしたら河童の皿さある水が零れ落ちてなぁ、河童っちゅうもんは皿の水がねくなると力が入んねくなってばったりと倒れてしまうんだと。んなもんだから河童はその場さ倒れてしまったんだと。

そしたら今度は別の河童が相撲をとろうと川からあがってきてなぁ、んなもんだから彦一は相撲の前にはお辞儀をするもんだとお辞儀をすっと、河童もつられてお辞儀をしてしまうもんでなぁ、またばったりと河童が倒れてしまったんだと。するとまた河童があらわれて彦一がお辞儀して・・・

彦一は城さ意気揚々と河童を15匹もつれてなぁ
「お殿様、でっけぇもの釣れました。どうぞおおさめくだせぇ」
ってんで河童をお殿様さ献上したんだと。



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【2006/08/10 22:47】 | 民話(東北以外) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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