けちんぼう藤兵衛
むかしなぁ、木造っちゅうとこさとんちの名人の藤十郎ってもんががおっててなぁ、いろんな話があるんだども今日はけちんぼうの藤兵衛をとっちめた話にすっかな。 この藤兵衛は金貸しでなぁ、それはそれはけちにもほどがあってなぁ、どうにか一泡吹かせたいって常日頃から思ったんだと。 ある日のこと木造町の両手に抱えきれねえほどの土産をもってふらりふらり歩いている藤兵衛がいたんだと。どうも祝言のかえりでなぁ、酒も入って足取りおぼつかねぇかったんだと。 「おい、藤十郎や。あの藤兵衛のみやげもんをおめえのとんちでごっそりこっちのもんにできねえだろうか」 ってなぁ。藤十郎もみやげにゃあおいしいもんがたらふくあるに違ぇねえってな。 藤兵衛が土産抱えたまま歩いていると坂の途中さすいかが一個落ちてたんだと。それをみた藤兵衛はもったいねぇってなぁ、すいかをどうにかして手に取ろうとしたんだと。んだども両手いっぱいにみやげもんをかかえているからなぁ、藤兵衛はみやげもんを地面さ下ろしてすいかを拾おうとしたんだと。そしたらここは坂道なもんでなぁ、すいかはころころころころ坂道を転げ落ちたんだと。藤兵衛は思わず 「すいかまてー」 ってすいかを追い続けてなぁ、やっとすいかに追いついていざ持ち上げたらなんだか軽くてなぁ、よくよくみてみっと中身が入っていなかったんだと。藤兵衛はがっかりしてみやげもんを取りに戻るとなぁ、確かに置いたはずのみやげもんがごっそりなくなっていたんだと。藤兵衛が泣きべそかきながらみやげもんを探していっとそこさ藤十郎があらわれたんだと。藤十郎は何食わぬ顔して 「藤兵衛さんどうした?」 て聞いたんだと。そしたら繁次郎はみやげもんがなくなったことをいうとな、藤十郎は 「ああ、それはさんこきつねの仕業だ。空のすいかをおいて藤兵衛さんを化かすとはずるがしこい悪ぎつねだ。おらもさんこぎつねにだまされねえようにしねば」 ってそそくさと立ち去ったんだと。もちろんこれは藤十郎のとんちでなぁ、藤兵衛はみやげもんをなくしてとぼとぼと歩いて帰ったんだと。そのころ藤十郎らは二人しておいしいみやげもんに舌鼓を打ったんだとさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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