せんべいの賭け
むかしなぁ、江差っちゅう町さ繁次郎っちゅうとんちの名人がいたんだと。村の若えもんは、いぜんに豆腐の賭けで負けてしまって焼酎一本とられたんだと。これがなんともくちおしくてしかたねえもんでな、どうにかして繁次郎から焼酎を取り戻さねばってでな、考えに考え抜いてせんべいの賭けを思いついたんだと。 若えもん達ゃあ南部せんべいを五十枚かって繁次郎の家さおしかけたんだと。そして繁次郎さ 「おらが百勘定する間さこのせんべい五十枚を食ってみろ」 っていうんだと。とんちもすごいが早食いがも自慢の繁次郎もさすがにうーんと頭をひねったんだと。そしたら 「そんなら十枚のせんべいを一口で食ってみろ。そのどっちかでええから」 ってな。そしたら繁次郎は 「んなら十枚のせんべいを一口で食ってみっさ。ほれ、焼酎買ってこい」 ってな。若えもんのひとりが急いで焼酎を買ってきたんだと。んで繁次郎は台所にいってすりばちとすりこぎをもってきてな、すりばちん中させんべい十枚いれっとそれをごりごりごりごりって潰してしまって粉さしてしまってな、そこさちょこっとお湯をいれてこねくり回して餅のようにしたんだと。それを細長ぁく伸ばしてうどんみたいにしてな、それを端からずずずずずって吸い込んでな、麺にしてしまったから苦なくして十枚のせんべいを食べてしまったんだと。 またまた賭けに勝った繁次郎さ焼酎を渡して若えもん達が帰ろうと戸の方さ行くとな、後ろから繁次郎が、 「ほれほれ、いつもおめえたちゃからご馳走になるわけにはいかねえから、せんべをつまみに焼酎を飲むべな」 ってな。みんな仲良く焼酎のんでバカ騒ぎしたんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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