「不是人間之塔」
むかしなぁ、宗禅寺の檀家さんの鶏が、いっつも宵になくんだと。鶏の宵鳴きは縁起が悪いもんでなぁ。檀家の主人が鶏を殺してしまって広瀬川に捨ててしまったんだと。 その晩のこと、宗禅寺のおしょうさんの夢枕に鶏が現れたんだと。 「おしょうさん、おしょうさん、私はこの寺の檀家で飼われていた鶏です。私と一緒に飼われている猫が一家を根絶やししようとたくらんでいます。私はそのことを伝えるために鳴いていたのですが殺されました。私は川の杭に引っかかっています。おしょうさん、どうか主人にこのことを伝えてください」 て、いうもんだから次の日おしょうさんが檀家の家に行ったんだと。そしてこのことを話している時さ、猫がこっそりと鍋のなかにあった汁に尻尾を入れていたんだと。いったいなんだべなぁ、と思ってこっそり猫のあとをついていたんだと。 そしたら猫は竹やぶの中に入ってどろっ、としたものに尻尾をつけては鍋に尻尾を入れていたんだと。和尚さんがよくよくみっと、どろっとしたものはトカゲやらヤモリやらカエルやらを腐らせた毒なぁ。 主人は鶏に申し訳ないことをしたと思ってなぁ。猫を打ち殺していそいで川に行ったんだと。そうしたら広瀬川の杭に鶏が引っかかっててなぁ。鶏の死骸を引き上げた後、丁寧に葬ったんだと。それで、これは人間の墓じゃないということから「不是人間之塔(是れ、人間の塔あらず)」という碑が建ったんだとさ。 そうそう、この話には後日談があってなぁ。竹やぶから大きいかぼちゃが取れたんだと。 檀家さんはそれを次の日に煮て食べようと納戸においたんだと。その夜にあの時の鶏がおしょうさんの夢枕にあらわれてな、 「おしょうさん、おしょうさん、主人が竹やぶから見つけたかぼちゃは毒です。その証としてかぼちゃの下にあの猫が埋まっています」 と言ったんだと。 それでおしょさんが檀家の家に行きこのことを主人に話したんだと。そして、かぼちゃをとったあたりを掘ってみっと、かぼちゃの根が猫の頭蓋骨の眼から生えていたんだと。 ほんとうに猫って執念深いなぁ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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