雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第百二十七話 坊沢と目無川
坊沢と目無川


むかしなぁ、川内町のあたりさ蛎崎氏(かまざき)ちゅう豪族が住んでいたんだと。
蛎崎氏は大陸とも交易してたもんだから、それはそれはにぎわっていたんだと。蛎崎氏の城下町のはずれにな、いつのころから知らねぇが目の見えねえ乞食が住んでいたんだと。ぼろぼろになった着物きているもんだから誰からともなく「ぼろぼ様」って呼ばれてなぁ。ぼろぼ様は背が六尺もあってとってもでっけえもんだから、昔はどこか戦場で戦っていたんじゃねえかっていわれたんだども、ぼろぼ様はまったく自分の昔ばなしをしなかったからなぁ、どんな人なのかさっぱりわかんねかった
んだと。
ぼろぼ様は蛎崎の城下町でほどこし物をうけていたんだども、時には杖をたよりに近くさある車返しの宿ちゅうところさもでかけていたんだと。車返しの宿は蛎崎の城下町さ比べればくらべらんねぇほど貧しかったんだども、宿の人々は貧しいながらもぼろぼ様にはと快く恵んだんだと。
そしたらいつのころからか知らねえけどもぼろぼ様さめんこいわらしがついて歩いたんだと。名をお浜と言ってなぁ、お浜もまたぼろぼ様と一緒で目がみえねえもんで人々は哀れんでいままで以上にほどこし物を分け与えたんだと。

んだどもある日の境にお浜一人だけほどこし物もらいにやってくるようになってなぁそれから幾日もしねえうちに姿が見えなくなったんだと。実はぼろぼ様は病気にかかってしまってなぁ、お浜一人で歩いていたんだどもお浜が戻ってこねえもんだからぼろぼ様は病気にもかかわらずお浜を探しにいったんだと。そしたらぼろぼ様が沢さどさーって落ちてしまってなぁ、そこさ車返しの宿のもんが通りかかったもんだから急いでぼろぼ様を助けて手厚く看病したんだと。んだども看病のかいもなく
ぼろぼ様は死んでしまったんだと。

車返しの宿の人々は蛎崎の城下町さ向かってぼろぼ様の引き取り手をさがしたんだと。んだども誰もいねかったもんでなぁ、車返しの宿のもんは相談して宿の外れさ葬ったんだと。
次の日のこと、車返しの宿のもんが蛎崎の城下町への道を歩いていたんだと。そしたら川さお浜の着物が浮かんでいたもんでなぁ、急いで人呼んで川をさらったんだどもお浜を見つけることはできねかったんだと。

「お浜はぼろぼ様さ魚でも食わせるために川へ行ったんだべ」

ってなぁ、宿のもんはお浜の着物をぼろぼ様の墓さ埋めたんだと。

なんともあわれなはなしでなぁ。そうそう、これにゃあ後日談があってなぁ

この話を聞いた蛎崎のお殿様がなぁ

「このたびはわが城下のものが世話になった。救ってくれて看病してくれたことはありがたいことだ。それに比べわが城下のものの仕打ちには情けなく思う。しかっておくので許してほしい。ついてはぼろぼ様が落ちていた沢を坊沢、お浜がいなくなった川を目無川と名づけ車返しの宿のものさ与える」

ってお達しが届いたんだと。



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【2006/09/14 21:04】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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