雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第十三話 むかしむかしあるところに
むかしむかしあるところに…


むかしなぁ、江戸に色んなとこからお殿様が集まっていたんだと。お殿様たちがあれやこれや話していると、あるお殿様が胸を抱えて苦しみだしたんだと。周りにいた人たちはびっくりしてなぁ、すぐに医者を呼ぼうとしたんだと。
そのときに越中の国のお殿様がなぁ、懐から印籠を取り出して薬を飲ませたんだと。そしたら今まで苦しんでいたお殿様がけろっと、すっかり直ってしまったんだと。
この話を聞いた将軍様はなぁ

「そんなに良い薬なら日本全国に売ってまいれ」

て言ってなぁ。越中富山の薬売りは関所などの制限が免除されたんだと。

そんなある日のこと、ちかごろ関所破りが多くなっったもんで将軍様は困っていたんだと。
誰かが手引きをしているにちげぇねぇ、と思ってなぁ。多くなったのが薬売りが関所を免除になってからなもんだから、将軍様は薬売りの一人を捕まえたんだと。そうしたら薬売りはなぁ、

「おら、なにも関所破りの手伝いなんかしてねぇ。たぶん、他の村の話をしてなぁ、○○村はごちそうがでた、とか■■村は金が取れたとか話すからかなぁ」

って言ったんだと。
将軍様は薬を売るのにしゃべんねぇわけにいかねぇもんだからどうにかなんねぇものか、と考えてなぁ。

「それならば、村の名前なんぞいわねぇで[むかしむかしある所に]と話せ」

て、言うもんだからそれからというもの富山の薬売りは「むかしむかし、あるところに」って言いながら色んな話をするようになったんだと。


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【2005/12/04 17:16】 | 民話(東北以外) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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