爺穴
むかしなぁ、あるとこさ腰の折れ曲がって動けねぇ爺様と、爺様の息子夫婦に姉弟のわらしっ子がいたんだと。この息子夫婦はなにかにつけて爺様を邪険にあつかうもんでなぁ、早く死なねぇか早く死なねぇかっていっつも思っていたんだと。んだどもわらしっ子達はじじ様、じじ様って爺様さなついていてなぁ、側にいては爺様の世話したり遊んだりしていたんだと。 ある晩のことでなぁ、弟が夜中さ目さまして姉っ子をゆり起こしてはなぁ 「おら、ひとりで便所さ行くの怖えからついてってけろ」 っていうんだと。姉わらしは眠い目こすりながら弟を便所さ連れて行き、出てくるのを待っていたんだと。そしたらな、どっからかひそひそ声が聞こえるもんだからなんだべ、っておもってな、便所から出てきた弟と一緒に声のする部屋の前へ行ってみたんだと。そしたらかか様の声がなあ 「あんな老いぼれを家さおいても飯がもったいないべ」 って、爺様の悪口を言っていたんだと。そしたらとと様が 「もったいねぇっていうだども、それじゃあお前、どうするんだ」 「あのじじいを殺して穴さ埋めるすぺ」 「そうだな、しかたねぇがそうすっぺ。んだども殺したあとどうすっぺ」 「穴掘ってそこさ埋めて、周りには出かけたままかえってこなくなったって言えばいいべ」 っていうんだと。これには姉弟は驚いてしまってな、どうにかしてじじ様を助けなければなんねえって二人して知恵絞ったんだと。 あくる晩のこと、息子夫婦は鍬もって墓地さいくとなぁ、爺様を埋める穴をざっくざっくと掘り始めたんだと。そしたらな、わらしっ子たちがととかか様の隣さやってきて同じように穴を掘り始めたんだと。これをみた息子夫婦はびっくりしてなぁ 「おめえたち、こんな夜中になにやってんだ」 っていうんだと。そしたらわらしっ子はな 「おらぁ、いまからとと様とかか様を埋める穴掘ってんだ。どうせ歳くうと役立たずになるんだから今のうちに掘るんだ。二つも穴掘らなきゃなんねぇから大変だ」 っていうとまた穴を掘り始めたんだと。 これを聞いた息子夫婦はな、 「あぁ、誰でも歳とるんだからその世話をしねえといけないんだな。おら達もいずれじじとばばになるんだ」 ってなぁ、それからというもの息子夫婦は爺様を大事に大事に世話してなぁ、一生懸命働くもんだから家も上向きになったんだとさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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