名刀三日月丸
むかしなぁ、野辺地の有戸っちゅう村さ助三郎という若者が住んでいたんだと。助三郎は朝から晩まで畑仕事に精をだしては日々をすごしていたんだと。ところで、この有戸の村の近くさある山ん中さ大きな石があってなぁ。不思議なことに三日月の晩になると石から うおーん うおーん ってうなり声が聞こえるんだと。村のもんは化け物がいるに違いねえって思ってなぁ、三日月の夜さなっと戸をぴしゃりとしめて早々と寝てしまうんだと。んだども助三郎にゃあ誰かが呼んでいるように聞こえてならねぇもんでなぁ、次の三日月の晩の時さうなり声のする石さむかったんだと。助三郎が近づくにつれてだんだんうなり声が高くなってなぁ、ついに石さたどり着いたんだと。なんだか助三郎には泣き声に聞こえてきてなぁ、 「おらでよければ話をきいてやっから」 って石さ向かって言うとなぁ、うなり声はぴたりとやんで目の前さ鎧兜姿の落人がすぅっとあらわれたんだと。 「わしは源平の合戦で破れ落ち延びたんだがここで力尽きてしまった。どうか供養をしてくだされ」 っていうやいなや姿がすぅっと消えてぼろぼろになった鎧兜があったんたんだと。 助三郎は鎧兜を手にすると家さ持ち帰って庭さ埋めてねんごろに弔ったんだと。その晩のこと、助三郎の夢枕さあの落人があらわれてなぁ 「供養をしてくださりかたじけない。明日の夜に外にでてみるといい」 っていうもんでな。次の晩、三日月の輝く夜に外にでたんだと。ぼんやり三日月を眺めているとなぁ、急にあたりがぱぁーっと明るくなり天から光り輝くものが落ちてきて家のかやぶきやねさ刺さったんだと。助三郎が屋根さ上ってみっとなぁ、そこには光り輝く太刀がささっていたんだと。 「これがわしの太刀じゃ。そちの守り神にせい」 と声がしてなぁ、助三郎はこの太刀を三日月丸と名づけて家宝にしていたんだと。 ある日のこと、助三郎の家さ山伏がやってきたんだと。この山伏は何も修行しねぇもんでなぁ、助三郎の家さある三日月丸を盗むつもりでやってきたんだと。皆が寝静まったころを見計らうと山伏は三日月丸を背中にしょって家を飛び出したんだと。 山伏が夜通し走り続けて夜も明けようとするころになぁ、その足を止めてどんな名刀なのか気になって太刀を背中からおろしたんだと。 そしたら太刀が勝手にさやから抜けると山伏さ向かって斬りつけてきたんだと、山伏は驚いて逃げ出すとなぁ、いつまでもいつまでも太刀は山伏を追いかけて、とうとう山伏は助三郎の家まで戻ってしまったんだと。そしたら家の前には助三郎が立っていてなぁ 「おらの夢枕さ太刀は盗まれたが戻ってくるから安心しろっちゅうお告げがあってなぁ、本当にそのとおりになった」 っていうんだと。山伏は助三郎にわびるとそれからは心を入れ替えて修行をし、立派な山伏になったんだと。 いまでもこの三日月丸は宝刀として大事にされているんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| ホーム |
|

