雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第百五十二話 於国子稲荷
於国子稲荷



むかしなぁ、三戸の六日町さ於国子(おくにこ)っちゅう年のころは二十歳で、それはそれはたいそうめんこい娘さんがおったんだと。この於国子はたいそう本を読むのが好きなもんでなぁ、朝起きてから夜がふけるまで周りに積みあげられた本をとにかく読み漁っていたんだと。んなもんだから町の人もあきれはててなぁ、
「いったい於国子は朝から晩まで本読んで何になるつもりだぁ」
ってからかっていたんだと。

ある日のこと、六日町で火事が起きてなぁ、風も強かったもんで瞬く間に燃え広がってしまったんだと。町の人は、さぁたいへんと火事から逃げ回っていたんだと。
そん時にでも於国子はまったく気にしねぇでいつもの用に本を読み漁っていたんだと。
火の勢いは衰えることを知らず、とうとう於国子の家に燃え移ったんだと。そしたら不思議なことに於国子の家の屋根から真っ黒い煙が出たかと思うと、そのまま天高く登っていってなぁ、その煙が雲になってたちまち大雨がざーざーざーざー降りはじめたんだと。雨のおかげで町中に燃え広がった火事も下火になったんだと。

んだども於国子は家とともに姿を消してしまってなぁ。
「於国子が稲荷様になって火事を食い止めたに違いねぇ」
って噂しあってなぁ、町ののみんなで祠を建てて於国子をまつったんだと。それからというもの、この祠を於国子稲荷といってなぁ、今でも大事にされているんだと。


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【2006/11/05 22:55】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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