卯子酉様
むかしあったけんど。あるところにおっとうとおっかあとこどもと三人で暮らしていただと。 ある日、おっとうとおっかあが野良仕事しているときになぁ、こどもはその横で遊んでいたんだと。そうしたら、空から大きな影がこどもを横切ってなぁ。なんだべぇ、と思って空を見てみるとそれはそれは大きなわしだったんだと。んだども、おっとうもおっかあも野良仕事に夢中でなぁ、わしに気がつかなかったんだと。 そうしたらわしはこどもをつかんで飛び去ってしまったんだと。それに気がついたおっとうとおっかあは慌ててわしを追いかけたんだと。野を越えて、山を越えて、んだけどもとうとう追いつけなくなってなぁ、次の日になって村人総出で探したんだども見つけることができなくてなぁ。まわりはあきらめるしかねぇべなぁ、というんだどもおっとうとおっかあはあきらめることなく探しつづけたんだと。 それから何年たったことだろうか。ある日のこと、川に変わった生き物が杭に引っかかっているという話でなぁ。村のもんらが川に集まっていたんだと。おっとうもおっかあもなぁ、何か思うところがあったんだべなぁ。二人も川に行ってみたんだと。そうしたら、杭にはなんともいえない不気味な生き物でなぁ。顔は人のもんだけども下半身が魚でなぁ、なんともせつなそうな顔をしていたんだと。 おっとうとおっかあは前のほうに出て顔を確認したんだと。そうしたら、どことなくさらわれたこどもに似ていたんだと。おっとうとおっかあはさらわれたこどもに違いねぇと思ってなぁ。たとえ、不気味な姿であっても親としたら子供がかわいいもんだ、よく戻ってきたなぁ。 っと、思っているとその不気味な生き物は安心したのかそのまま死んでしまったんだと。 そこで、おっとうとおっかあはなきがらを引き取ろうとしたんだと。村人はそんなもん引きとるのはやめとけ、というんだども二人はせっかくのかわいい我が子が戻ってきたんだって丁寧に葬ったんだと。 その葬った場所が今の卯子酉様でなぁ。親子の縁がいつのまにか男女の縁結びになったんだなぁ。 どんとはれ まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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