河童淵
河童といえば緑色でなぁ、背中に甲羅をしょって頭にちょこんと皿があるもんでなぁ。 んだども、遠野の河童はちーとばかり違ってな、遠野の河童は緑ではなく赤い色をしているもんでなぁ。そんな河童の話を語ってやっからなぁ むかしあったずもな、ある長者どんの家は使用人や馬っこがたくさんいてなぁ。馬っこを洗うためにいっつも近くの川に連れて行って洗ったんだと。んだどもその川にはいたずら好きの河童がいてなぁ、人や馬っ子を引きずり込んでいたんだと。 そんなある日ののことなぁ、長者どんがまだ寝ていた使用人である子供を起こして 「馬っこを小屋に入れたままにすっと体が腐るから近くの川に連れて洗っとけ」 といったんだと。 子供は眠い目をこすってなぁ、馬っこを連れて川に行ったんだと。最初は馬っこを洗っていたんだどもやっぱり子供なもんだからなぁ、途中であきてしまって馬っこほっぽりだして遊びに行ってしまったんだと。 その時に川ん中から河童が出てきてなぁ、馬っこを引きずり込もうとしたんだと。んだども、馬っこは木につながっていねぇもんだから河童が 馬っこの尾っぽをつかんだら馬っこは気がつかなえでな、家のほうに歩いていったんだと。河童は地上に出たもんだから力がはいらねぇでな、馬っこは長者どんの家に戻ってな、河童も尻尾につかまったまま馬にくっついていたんだと。 馬がいつのまにか戻っているのを見て長者どんは 「なんだ、あのやろっこ川にでも落ちたのか、んだども、どうせかわりのやろっこはいくらでもいるからいいべなぁ」 と馬っこを小屋に入れたんだと。河童はなぁ、 「なじょしてもどればいいべぇ」 ってどうにかして戻ろうとしたんだども、昔の家は馬屋と人のすんでいるところが同じでなぁ、馬っこと人にはさまれたんだと。 そうしているうちに今まで気がつかなかった馬っこも次第に暴れ出したもんだから長者どんが小屋に戻ってみっと小屋の中になぁ河童がいたんだと。それを見つけた長者どんはたいそう驚いてな、今まで人や馬っこを川に引きずり込まれて殺されていたもんだから家中のもんを呼びだしてな、ついに河童を捕まえたんだと。 長者どんは河童を殺そうとしたんだと。そうしたらこの騒ぎを聞きつけてお寺から和尚さんがやってきたんだと。 「なじょしてこんなに騒いでいるんだ」 と、言うもんだから長者どんがこれこれこういうわけでと和尚さんに今までのことを話したんだと。そうしたら和尚さんはなぁ、 「わかった、みなの気持ちはよくわかる。んだどもな、たとえ河童でも 殺されるを黙って見すごすわけにはいかねぇべ。どうだろう、わしがよぉく言い聞かせるから勘弁してけろ。」 というもんだから長者どんも、和尚さんに任せっぺ、ってことにしたんだと。 和尚は河童を寺につれてかえってな、 「なじょしておめぇは人や馬っこを川に沈める」 ていうんだと、そうしたら 「おらぁ、人食っていかなきゃ生きていくことができね」 というんだと。そうしたら和尚さんはなぁ 「おめぇのいうこともわかる、んだどもな…」 と説教をはじめたんだと。 「わかった。もう悪りぃことはしねぇ」 っていうもんだから和尚さんは河童を逃がしてやったんだと。 そんなある日、お寺が火事になったんだと。和尚さんは慌てなぁ、近所の人を呼んだんだと。そうしていざ火を消そうとしたんだどもお寺の火はすっかり消えていたんだと。 和尚さんはお礼を言おうと誰が消しのかきいたんだと。んだどもみんな口々そろえて、おらじゃねぇ、っていってな。誰が火を消したかわからなかったんだと。 不思議に思った和尚さんがなぁ、水の落ちているところを辿っていったんだと。そうしたら前に助けてやった河童の住む川についたんだと。和尚さんはなぁ、河童が助けてくれたんだと、河童にお礼を言おうとしたんだと。んだどもそれ以来川に行っても二度と河童に会うことはなかったんだと。 和尚はせめてもの感謝の気持ちと河童の形をした狛犬をお寺に作って置いたんだと。これが河童狛犬のいわれなんだなぁ。 どんとはれ まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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