雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第十九話 きつねよもやまばなし いろはきつね
いろはきつね


高松狐も有名だども、高松の近くの小田原というところにな、いろは狐というこれまた人を化かすのがうまい狐がいたんだと。仙台にある東照宮を建立していたんだと。んだども御神体が日光の東照宮から先にやってきてな。ちょうど桜の木と大きな石があったもんだから、そこに仮にお宮を作って御神体をお奉りしたんだと。

その頃になぁ、若ぇ女に化けて「いろは」と染め抜かれた着物を着て「いろは」とかかれた提灯をもってな、色仕掛けで化かしていたんだと。いろは狐は色仕掛けの他にも石に化けるのが得意でな。都合の悪い時は石に化けてやり過ごしたんだと。んだども、なーんもしらねぇでその石に座るといろは狐の神通力で泥ん中に落ちたり道に迷ったりしたんだと。そんなもんだから誰もこの道を通らなくなくなったんだと。

その話を聞いた菊池治助というというお侍さんがな、これじゃあいけねぇ、てんで退治することになったんだと。雨の降る夜に治助さんがお仮の宮へ行ったんだと。
そうしたらお仮の宮には提灯を持っている若ぇ女が手招きしたんだと。治助は動かねェでじっとしていると突然女の手が治助に向かって、にゅー、っと伸びたんだと。治助さんはその手を刀で気合もろとも斬ってしまってしまったんだと。手だけでなく何かを斬った手ごたえがあったんだと。んなもんだから明るくなってからお仮の宮に行ってみるとお仮の宮の桜の木の下にひとつ黒い刀傷がついた石があったんだと。このことがあってからいろは狐は姿を消してしまったんだと。んなもんだから、あの石に化けたまま戻らなくなったんじゃねぇかってなぁ。


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【2005/12/24 22:23】 | 民話(仙台市青葉区) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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