橋をのむはなし
むかしなぁ、日本一の奇術師が仙台にやってきたんだと。いろいろ不思議な奇術をみせてな、最後に 「広瀬川にかかっている長町橋をのんでみせる」 って、いったんだと。それを聞いたもんだからみんなびっくりしたんだと。なんせ口からなんかだす、っつう奇術は見たことがあっても橋をのんでしまう奇術なんぞきいた事がなくてな。その話は仙台だけでなくまわりの村々にまで広まったんだと。 そしてついにその日がやってきたんだと。朝から橋のまわりにいっぱいの人が集まってな。そんなかの一人の若ぇもんが 「なんぼなんだって橋なんかのめるはずがねぇ、なんかタネがあっぺ」 ってな、橋のそばにある松の木の上にのぼったんだと。 さて、いよいよ奇術師が白い鉢巻に稽古姿でやってきてな。松の木にのぼっている若ぇもんをジロリとにらんだ後に橋の前にたったんだと。そしてえい!えい!っと気合を入れたんだと。そうしたら奇術師の口ん中にスルスルと長町橋が入ってな、みんな見とれている間に橋をすべて飲んでしまったんだと。 「それは橋を飲んだんじゃねぇ、橋の上をはっただけだ」 って、松の木の上の若ぇもんが叫んだんだと。得意になって、若ぇもんは枝をつたって下におりてきたんだと。あとちょっとで地面につくところで手を離したんだども、若者は地面にごつーん、とたたきつけられて腰がたたなくなったんだと。 ほんとうはまだ木の中ごろにいたんだども若ぇもんは手を離してしまったんだと。それをみた奇術師はにやり、と笑い流して西のほうに向かったんだと。奇術師はまわりの客とは別に若者に術をかけたんだってな。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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