雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第二十二話 政宗よもやまばなしその2 毘沙門天
毘沙門天


むかしなぁ、政宗公が仙台周辺を征圧するために戦っていたんだと。仙台もだいぶ制圧したんだどもどうしても粟野氏の住む郡山を攻め落とすことが出来なかったんだと。

「なんだかくもの巣が垣根みたいにまいててなぁ、城に近よれねえんだ」

「黒い雲が城をすっぽり隠れてんだ」

などと話していたんだと。
んなもんだから政宗公もただごとじゃない、ということでひそかに密偵に調べさせたんだと。そうしたら粟野の殿様は毘沙門天に信仰があつくてな、毘沙門天はいくさの神様だから粟野氏の城を守っていたんだと。

それを聞いた政宗公はな

「ならば、わしも毘沙門天に願をかけよう。もし勝つことが出来たのなら我が城下に立派な毘沙門堂を建立しよう」

と、毘沙門天に願をかけたんだと。次のいくさに粟野氏を攻めたら今までの苦戦がうそのようでな、願がききとどられたのか粟野氏の城を攻め落とすことができたんだと。

よろこんだ政宗公は粟野氏の城から毘沙門天像を持ち帰ったんだと。んだども、その途中にふと政宗公に不安がよぎったんだと。

「毘沙門天のご利益はすごいものだ。だが、誰かがわしを倒せと祈願したらそれもききとどけられるのであろう。持ちかえるのは※剣呑だ」

と、政宗公は堀に毘沙門天像を投げ捨てたんだと。それを荒町の子供達が見つけてな。それを引き上げてお堂を建てて奉ったのが今でも荒町にある毘沙門堂なんだと。

それいらい毘沙門天はいくさの願かけに耳を貸さなくなったんだと。

(※剣呑…危ないという意)


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【2006/01/02 16:44】 | 民話(仙台市若林区) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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