雨月民話風呂
メールマガジン民話万象でご紹介いたしました民話の再編集や、時節に応じました民話の紹介を行っております。 また、時折雨月物語についてもふれていきたいと思います
第百二十五話 おはやの浜
おはやの浜


むかしなぁ、鰺ヶ沢っちゅう町におはやの浜ってのがあったんだと。いまとなってはどこのことだかしらねんだけどなぁ。なんでも津軽公の軍船を置いていたからそうよぶんだとなぁ。そのおはやの浜はもともと死人を弔うための火葬場だったんだと。

ある夜のこと、おはやの浜で遺体を火さかけて番をしていたんだと。男達は潮騒さ耳傾けたりうつらうつらとしているとなぁ、突然波がばざぁーって高くなって海んなかから得体の知れない化物がでてきたんだと。これにはみんなたまげてしまってなぁ、一目散に逃げ出してしまったんだと。夜が明けて恐る恐る浜さいってみっとなぁ、そこには火葬していた遺体がなくなっていたんだと。

それからというもの、こんなことが何度もおきるもんでなぁどうにかなんねぇもんかってなったんだと。そしたらある肝っ玉が太え男がなぁ

「そんならおらが番をしてやろう」

っていったんだと。男は船の陰で一杯ひっかけながら夜がふけるのを待っていたんだと。波も高くなるころになっとなぁ、男は火葬の火を消して船さ隠れてまっていたんだと。そしたら海の方から足が伸びてきて棺桶をつかんだんだと。男は飛び出足を切るとなぁ、海のほうさ向かって刀振り回して怪物を斬ったんだと。

夜が明けて怪物の姿をみてみっとなぁ、それは大入道のようにでっけえタコだったんだと。



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【2006/09/07 20:49】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百二十四話 出会い坂
出会い坂


こりゃあだいぶ昔の話なんどもなぁ、北条時頼っちゅう鎌倉幕府で執権として活躍したお方がおったんじゃと。時頼は後を時宗に譲り出家して乞食坊主の格好で日本全国を旅していたんだと。

時頼が名川町さ来た時、目の前さ見える名久井岳さ登ったんだと。名久井岳の頂上さつくとなぁ、眼下にひろがる海から月が昇ってくるのをみて

水むすぶ 名久井ヶ岳を ながむれば 海よりいでて 山に入る月

って詠んだんだと。

山を降りると、もう日もとっぷりくれてしまってなぁ、どこか宿がねえぇかと探したんだと。そしたら観音寺っちゅうでっけえ寺があってなぁ、そこさ大声で

「なにとぞ一晩泊めてくださらぬか」

って叫んだんだと。そしたら奥から和尚が出てきてなぁ、時頼の身なりをじろじろと眺めると

「ここは宿屋じゃねえからとめることはできねぇ」

っていうやいなや戸をぴしゃりと閉めてしまったんだと。

時頼はしかたなく夜道を歩き続けるとなぁ、小さな庵からお経をあげる声が聞こえたんだと。時頼はわらにもすがる思いで戸をたたくとなぁ

「どうか一晩泊めてくださらぬか」

って頼んだんだと。そしたら中から捐城っちゅう和尚さんがでてきてな

「これはこれは、粗末な所ですが。どうぞおあがりください」

って時頼を中さ入れたんだと。そして火をくべると米びつをさらって米をかきだしてお粥を作り時頼さふるまったんだと。

あくる朝、時頼が目さますとそこには捐城和尚の姿はみえなかったんだと。時頼は捐城和尚の心に感じ入って持っていた扇子さ

「名久井岳からみえる限りの土地をなんじにあたえる」

って書いて庵を後にしたんだと。

しばらくあるいていっと坂の途中で捐城和尚とばったり出くわしてなぁ

「もう旅に出られるのですか。どうか庵におもどりください。いま托鉢で米をもらってきた所ですから」

っていったんだと。んだども時頼は丁重にお礼を言ってそのまま旅を続けたんだと。
それからというもの、この坂を「出会い坂」と呼ばれるようになったんだと。

時頼が鎌倉さ戻った後、

「仏につかえる身でありながら困ったものを助けぬとはけしからぬ」

って観音寺を取り壊したんだと。そして法光寺っちゅう寺を新しく作って捐城和尚を住職としてすまわせたんだと。



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【2006/09/05 20:45】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百二十三話 三人兄弟
三人兄弟


むかしなぁ、津軽のあるとこさ一代で財産築いたおやじがいたんだと。おやじにゃ息子が三人いてな、自分の後を誰に継がせるか頭悩ませてたんだと。

ある日のこと、おやじは息子を呼び出してなぁ

「おめえら、もしもこの家を継いだらどんなことして金儲けすっかしゃべってみろ。一番金儲けできそうなもんさ家つがせっから」

っていうんだと。

まず長男がなぁ

「おらなら下北半島と津軽半島の間さ柵つくって、そこさ鯨を何十頭も育ててそれを売ってもうけるつもりだ」

っていうんだと。おやじは長男の言うことさ度肝抜かれて感心したんだと。

つづいて次男がなぁ

「おらわぁ、南の国さいって岩木山と同じ重さの綿買って、冬になったらみんなさ売るんだ」

っていうんだと。これにもおやじは感心してたんだと。

最後に末っ子がなぁ

「おらは道端さおちてる馬のくそ三つ拾ってくる」

っていうんだと。これにはおやじ顔真っ赤にしてカンカンに怒ってなぁ

「馬のくそ拾ってきて何するんだ。やっぱり末っ子は商売するこころがねえなぁ」

っていうんだと。そしたら末っ子が

「おやじ、おやじ、考えてみれけろ。陸奥湾で鯨育てるだの岩木山と同じ重さの綿を買ってくることなんてできることでねぇ。それなのにおやじは感心感心ってほめるもんだからな。一つ目のくそを一番目の兄っこの口さn、二つ目のくそを二番目の兄っこの口さ、三つ目のくそを感心して聞いているおやじの口さつっこむんだ」

っていうんだと。

これにおやじ一番感心してなぁ、

「なるほど、末っ子が一番まじめに世の中を考えているなぁ。」

ってんで末っ子さ家督を譲ることにしたんだと。



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【2006/09/03 20:42】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百二十二話 ムカデの恩返し
ムカデの恩返し


むかしなぁ、といってもありゃあ明治の中ごろのことでなぁ。青森と弘前の間さ鉄道が通ることになってな、その大釈迦峠での話なんだ。

なんせ峠さ穴掘ってトンネル作るもんだからえっちらおっちら掘り出しては外に出す作業を繰り返していたもんで中々進まなくてなぁ、さらにあちらこちらから土砂崩れがおきて生き埋めになったり、地下水さぶつかって水が湧き出て洪水になったりとなぁ、そりゃあ命がけだったんだと。

そんでも峠の真ん中辺りまでどうにか掘り進むとなぁ、奥のほうから

ぐおーんぐおーん

って不気味なうなり声が聞こえてなぁ、穴掘ってたに人夫たちは恐る恐る掘り進めていったんだと。そしたら目の前さ人夫よりもでっけえ、そりゃあ2,3人ぐらいの長さの大ムカデがあられたんだと。みんなびっくりしてなぁ、もっていたつるはしでムカデを殺そうとしたんだと。そしたら騒ぎを聞きつけた人夫頭がなぁ

「おめえたち、どんな生き物でも殺しちゃなんね。こんなにでっけぇムカデならこの山の神様かも知れねえからここから出してやれ」

ってなぁ、大ムカデを数人で外さ出して裏山さ連れて行ったんだと。

「おめえの住処を奪うのは悪いけれどもこれもお国のためだと思ってがまんしてけろ」

っていって離してやったんだと。

その次の日の夜遅くのこと、人夫頭の小屋をトントンたたく音が聞こえたんだと。
なんだべって人夫頭が戸をあけっとなぁ、そこにはきれいな娘っこが立っていたんだと。

「私は昨日命を助けられたムカデです。お礼にこの工事が無事に終わるようにしてあげましょう」

っていうやいなやすぅーっと姿が消えてしまったんだと。

それからというもの大ムカデのいったとおりにあれほどあった事故がピタリとなくなって、無事に峠さトンネルを掘ることができたんだと。



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【2006/09/01 20:38】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百二十壱話 津軽の桃太郎
津軽の桃太郎


むかしはなぁ、あるところにじいさまとばあさまがいたんだと。じいさまが山さ柴を刈りに、ばあさまは川さ洗濯していたんだと。そしたら川上のほうから桃が流れてきたもんでな、婆様は
「おおきいももこっちゃこい、ちいさいももあっちゃいけ。おおきいももこっちゃこい、ちいさいももあっちゃいけ」
って言ったんだと。そしたら大きな桃がばあさまのほうさ流れてきたもんでな、ばあさまは桃を洗い桶さいれて家さもって帰ったんだと。そしたら山から柴かついできたじいさまが帰ってきてなぁ、さっそく二人で桃を食べようと包丁もってきたんだと。そしたら、ひとりでにぱかって割れてなあ、中からめんこい男わらしがでてきたんだと。じいさまとばあさまには子供がいねぇもんだから、桃から生まれたんで桃太郎って名前をつけて大事に育てたんだと。

桃太郎が大きくなって一人前になるとなぁ
「じいさまばあさま、吾さきびだんごつくってけろ」
っていうんだと。じいさまとばあさまはきびだんご作って袋んなかさいれて桃太郎さ渡したんだと。
「おめえどこさ行くんだ」
って聞くとなぁ、
「あそべの森さ鬼退治さいく」
って言うんだと。あそべの森っちゅうのは岩木山のことでなぁ、そこさ悪さばかりする鬼が住んでいたんだと。

桃太郎はあそべの森さ歩いているとなぁ、犬っこがやってきて
「桃太郎さん桃太郎さん、今からどこさいくんだ」
って聞くとなぁ
「今から鬼を退治にあそべさいくんだ」
っていうんだと。
「その腰ささげてるのなんだ。一つちょうだい」
って犬がいうとなぁ、桃太郎はきびだんごをわけてやって家来にしたんだと。そしてまた歩いていたらきじが飛んできてなぁ
「桃太郎さん桃太郎さん、その腰ささげているもん一つちょうだい」
っていうんだと。もったいねぇなとおもったんだどもきじさもわけて家来にしたんだと。また歩いていると猿がやってきてなぁ、きびだんごひとつやって家来にしたんだと。

そうこうしているうちにあそべの森さついたんだども真っ黒なでっけえ門があってな、押しても引いてもびくともしなかったんだと。これを見ていたきじが門の向こうさ飛んでいって戻ってくるとな、猿さなんか耳打ちして猿が門をするするするするのぼっていっては門の向こう側さいってがちゃがちゃがちゃがちゃしているうちに門が開いたんだと。門の開く音きいた鬼たちは驚いてわーわーでてきたんだども猿はひっかいて、きじは口ばしでつついて、犬は噛み付いたりしたもんでとうとう退治されてしまったんだと。桃太郎は宝もんを車さ積んで家さ戻ってじいさまとばあさまと仲良く暮らしたんだと。

鬼たちは桃太郎の許しをこうてなぁ、鬼沢っちゅうところさいって百姓のために一生懸命働いたんだと。それからというもの、鬼たちは鬼沢の神様としてあがめられるようになったんだと。



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【2006/08/29 20:35】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百十九話 田名部おしまこ
田名部おしまこ


むかしはなぁ、田名部の町に何日も何日も雨がふんねえときがあったんだと。んなもんだから田んぼやら畑やらはすっかり干上がっちまってなぁ、なじょしたもんだべってみな頭をかかえていたんだと。

そしたら庄屋の一人娘のお島がなぁ
「おらが恐山さいって歌と踊りがすきな赤鬼からなんぼでも水がでる茶碗を借りてくるさぁ」
っていうんだと。庄屋やまわりのもんは
「鬼に食われてしまうからやめろやめろ」
って口々にいうんだども、お島はこれしか方法がねえもんでなぁ、まわりが止めるのも聞かねえで一人で恐山さ向かったんだと。

山道をどんどん歩いて、やがて大きな岩穴の前についたんだと。そこでお島は大声で
「赤鬼様、赤鬼様、おらはお島ちゅうもんだ。あんたの好きな歌と踊りっこ見せにきたか出てけさい」
っていったんだと。そしたら岩穴の奥から大きな図体の鬼がのっしりのっしりでてきてなぁ、
「なにを!わしに踊りを見せにきただと。もしも下手なもんみせるのなら食ってしまうからな」
って言うんだと。お島は
「そんならはじめるだ」
って口からでまかせに歌を歌って身振り手振りを面白おかしく交えて踊り始めたんだと。

盆の十六日 ホゲする時だ 小豆 強飯 豆 もやし

って踊っているとなぁ、赤鬼は楽しくなってきたのか一緒に踊り始めて

踊り踊るなら 品よく踊れ 品のよいもの 嫁になる

ってお島が歌うとなぁ、赤鬼は

鬼がこわいと いうなかれ ここにやさしい 鬼もいる

ってわいわいがやがや踊り続けたんだと。そしたら赤鬼がなぁ
「こんな楽しい踊りははじめてだ。わしを楽しませてくれたから何かおめえのほしいもんやるべ」
って言うんだと。そしたらお島は
「ずっと踊ったもんだから喉が渇いたんで、水をくだせえ」
っていったんだと。
「金がほしいかと思ったら水か。そんならこの茶碗をくれてやる。この茶碗のふちをこするといくらでも水が出るんだ」
ってな。お島は喜んで家さ戻ると田名部川の上流さ茶碗をおいてふちをこすったんだと。そしたら水があふれんばかりにどんどん出てきてなぁ、作物が元気よく育ったんだと。

これが田名部おしまこの由来でなぁ、南部のお殿様がわざわざ見にきたりしたんだとさ。



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【2006/08/25 20:29】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(0) |
第百十八話 アバラ三十郎
アバラ三十郎


むかしはなぁ、青森の西の方さある岩崎村っちゅうところにな、三十郎というそれはそれは働きもんの若者がいたんだと。しかも困った村人をみっと放っておけなくてなぁ、村のもんが病気の時でも
「おらが畑仕事やってやっぺ」
って手伝ってあげてなぁ、そりゃあ村のもんから慕われていたんだと。

ある日のこと、三十郎が山さわらびとりにいったんだと。ちょいと一休みってなもんで川岸でうとうとしているとなぁ、夢ん中さ山の神があらわれてこういうんだと。
「これ、三十郎。おぬしは困った人を助け、真に感心じゃ。ほうびに大力をあたえよう」
っていわれたんだと。三十郎は目を覚ますとなぁ、妙な夢をみたもんだと川さ手ぬぐいをひたして絞ったんだと。そしたら手ぬぐいがまるで紙のようにびりびりびりびりってなぁ、力いれてねぇのに破れてしまったんだと。夢が本当だったんだってびっくりしてなぁ、村さ戻ってから三十郎は今までにもまして山の神からもらった力で人々を助けたんだと。そしたらいつの間にか三十郎のあばら骨が一枚板のようにくっついてしまってなぁ、誰からともなくアバラ三十郎って呼ばれるようになったんだと。

そしたらな、アバラ三十郎の噂が江戸の力持ちの男の耳さはいってなぁ
「そんなら力比べでアバラ三十郎をへしおってやるべ」
ってんで江戸からわざわざ100貫もするいかりを肩さかついで岩崎村までやってきたんだと。そして三十郎の家の前で
「おうおう、わしは江戸一番の力持ちじゃ。津軽の力自慢三十郎と力比べにやってきたぞ」
ってそれはそれはでっけぇ声で叫んだんだと。あまりにもでっけぇ声なもんで三十郎のおっかあはこりゃあ三十郎はかなわねぇって思いながらも
「ちょっとまってけさい、今呼んでくっから」
って浜さいる三十郎を呼んで来たんだと。三十郎は男が担いできたいかりをみて
「これはなんだべ」
って聞いたんだと。男は
「こりゃあこうもりがさがわりにさしてきたもんじゃ」
っていうとなぁ、三十郎はいかりを抱えると
「こうもりがさなら家の中ではしぼませるもんだべ」
ってんで鉄でできたいかりをぎゅーーーー、ってしぼめてしまったんだと。これには江戸の力持ちはたまげてしまってなぁ慌てて逃げ出してしまったんだと。



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【2006/08/23 21:39】 | 民話(青森県) | トラックバック(0) | コメント(1) |
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