おひがんとおしがん
むかしなぁ、あっとこに嫁と姑がおったんだと。毎年、彼岸の時期になっとなぁ、よめの方は 「おひがん」 って、姑は 「おしがん」 って言い合ってお互い譲ろうともしなかったんだと。 これじゃあらちあかねぇってんでお嫁さんがお寺さいって和尚さんさ 「おひがんっていうのかおしがんっていうのか教えてけろ」 って聞いたらなぁ、和尚さんは 「そりゃあおひがんだ」 って言ったんだと。嫁は得意になって姑さはなすとなぁ、そんなわけねぇべって今度は姑がお寺さいって和尚さんさ 「おしがんっていうのかおひがんっていうのか教えてけろ」 って聞いたらなぁ、和尚さんは 「そりゃあおしがんだ」 って言ったんだと。姑は得意になって嫁さはなすとなぁ、そんなわけねぇべって今度は二人でお寺さいって和尚さんさ 「どっちが本当だ、教えてけろ」 って聞いたんだと。そしたら和尚さんはすました顔して 「どっちも本当だ。最初の三日がおひがん、最後の三日がおしがん、そして間の一日が中日でそこは坊主の丸儲けだ」 って言ったんだと。これには嫁も姑もあいた口がふさがらなかったんだとさ まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
猫の浄瑠璃
むかしなぁ、ある村におばあさんと「とら」ちゅう名前の猫がいたんだと。家のもんはみぃんな外さ稼ぎに行っているもんでなぁ、まいにちまいにち縁側でひなたぼっこしてすごしていたんだと。 「こうして毎日毎日縁側にいるのもひまだなぁ、とらや、なにかおもしれぇことでもないべなぁ。こう話してもしゃべれるわけねぇもんなぁ」 ってなとらさむかって話しかけたんだと。 「そんなにひまなんだったらおらが浄瑠璃聞かせてやっから。んだども、けっして誰にもいうんじゃねぇぞ」 っていきなりしゃべりだしたもんだからなぁ、おばあさんはびっくしりしたんだと。 とらはおもむろに座りなおすと浄瑠璃を語り始めたんだと。その声といったら町で聞く浄瑠璃よりもうめぇもんでなぁ、おばあさんは一日中浄瑠璃を聞いて満足していたんだと。 あまりにも楽しかったもんだからなぁ、家のもんが帰ってきたときについついくちをすべらして、 「きいてけろ、とらが暇つぶしに浄瑠璃をかたってなぁ」 って言うやいなや、とらはおばあさんの首筋さ、かぶっ、ってかみついってなぁおばあさんは死んでしまっってなぁ、そこにはもうとらの姿はなかったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
眼
あるところに若い夫婦と子供がいたんだと。三人は仲良く暮らしていたんだどもなぁ、ふとした病気で奥さんが亡くなってしまったんだと。 それからというもの父親は亡くなった奥さんの分まで家事から仕事からまいにちまいにち一生懸命にしていたんだと。んだども子供と遊ぶ時間が少なくなってしまったのか、それとも忙しい姿が目に映ってしまったのか子供は父親に近づこうとはしなかったんだ と。 ある日のこと、父親が台所で料理をしているとなぁ、子供が聞きにくそうになぁ 「お父さん・・・ なんでお母さんを背負っているの」 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
パンの耳
むかしなぁ、あれは戦後間もないころかのぉ。父親はとぉのむかしに戦争で亡くしてしまったもんだから母親と子供の二人で二人暮ししていたんだと。母親は朝から晩まで働いていたんだども父親がこさえた借金ですぐに金はなくなっていたんだと。 んだもんだから食事もたいしたもんが食えなくてなぁ、いっつもパン屋さんからあまりのパンの耳をもらっていたんだと。 そんな生活していたもんだから子供は栄養失調になってなぁ、母親は必死に看病したんだどもなぁ、とうとう子供が死んでしまったんだと。 母親は悲しみにうちひしがれてなぁ、毎日毎日子供のお墓さ行っては 「ごめんなぁ、うまいもんくわせてやんなくてごめんなぁ」 ってお墓に向かって拝んでいたんだと。 ある日のこと、母親はいつものように子供のお墓さ行って 「ごめんなぁ、うまいもんくわせてやんなくてごめんなぁ」 って拝んでいたんだと。そうしたら後ろから 「おかあさん」 って死んだはずの息子の声が聞こえたんだと。母親は子供が迷ってでてきたと思ってなぁ、必死になって 「ごめんなぁ、うまいもんくわせてやんなくてごめんなぁ」 って拝みつづけたんだと。そしたら子供はなぁ 「いいんだよ、おかあさん。僕はおいしいものたべることができなくていいよ」 ってやさしい声が聞こえてなぁ、母親は 「ごめんなぁ、うまいもんくわせてやんなくてごめんなぁ。何が食いてぇかい」 「僕はおいしいものは何もいらないよ。僕が食べたいものはねぇ… おまえの耳だ!!!」 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
死ぬなら今
むかしなぁ、あるばあさんが自分も若くねぇと思ってな、朝から晩まで念仏を唱えたり写経したりしていたんだと。んだども、ついにこのばあさんにも臨終が近づいてな、自分が死んだら写経を棺おけの中にいれてくれって頼んだまま息を引き取ったんだと。 おばあさんの隣の家でもちょうどそのとき大事に育ててきた娘が死んでしまってなぁ、両親は最愛の娘を無くしたもんだから悲しみにうちひしがれていたんだと。 ばあさんの出棺の時には言われたとおりに写経を入れたんだども、隣の家の娘さんの出棺の時にはなぁ、地獄の沙汰も金次第って言葉を聞いたもんだからたくさんの小判を棺の中にいれたんだと。 んだども両親が小判を入れるところをみた若ぇもんが夜中にこっそりと娘の棺を開けて小判を自分の懐に入れるかわりに、芝居なんかで使うにせものの小判をかわりに入れたんだと。 二人が三途の川わたり、閻魔様の前に突き出されてなぁ、まずばあさんのほうが前に出てきて 「私は毎日お経を唱えて写経もしておりました」 っていうんだと。目の前には棺にいれてもらった写経を目の前に広げてなぁ、そん時に閻魔様がふっ、と息を吹きかけるとな写経にかかれてあった文字がどこかに飛んでいってしまったんだと。 「心が何も入っていないでお経を読むとこうなるのだ」 とな、ばあさんは形ばかりのお経を読んでいたもんだから地獄に落ちてしまったんだと。 次に娘さんが前にでてなぁ、なにやったらいいかわかんねぇもんだから閻魔様や鬼たちに懐にあった小判を渡したんだと。そしたら、たいした裁きをせずに娘は極楽へ行くことができてなぁ。閻魔様や鬼たちはもらった小判は何枚か確かめてみたんだと。そうしてよくよく見てみっとなぁ、小判はにせものだっちゅうことがわかってなぁ。閻魔様をはじめ鬼どもみんなにせ金つかまされたって怒ってしまってなぁ、地獄総出で娘をとっつかまえるために追いかけていったんだと。 んなもんだから今は地獄には誰もいねくてなぁ… 死ぬなら今… まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
死ぬなら今(落語)
幼い頃からけちばかり、けちにけちをかさねて迷惑ばかりをかけながらも一財産を築いたあかにし屋けち兵衛も臨終が近づいてきました。 「おっとつぁん、先ほどのお医者さんから聞いたんですけどだんだん良いほうに向かっているそうですよ」 「ばかおっしゃい!自分の体のことぐらい自分が一番わかるものだ。わしももう長くはないようだ」 「なにを弱気なことをいっているんですか。そのようなことをいわないでくださいよ」 「わしはもう長くはない。そこでだ、わしは今まで人様に恨みをかうことばかりをしてきた。当然地獄に落ちるだろう。そこでだ、わしが死んだら棺おけの中に300両の小判を入れてくれ。地獄の沙汰も金次第というからなぁ」 「なにをいうんですか…そのような弱気を言っては…でも…うっ、でもですよ、もしも…もしもおっとつぁんが、旅立たれたら必ず300両入れますから…うっ…ぐすぐす、安心してくださいね」 って言葉を聞いたけち兵衛は安心したのかそのまま帰らぬ人となってしまいました。 さて、葬儀も終わりいざ出棺というときに息子が300両の小判を入れようとするのを見つけた親戚の一人が 「おいおい、もったいないことを。棺おけに小判を入れちゃあいけないよ」 「でも、おっとつぁんの遺言で300両の小判を入れてくれとのことで」 「なにも本物を入れなくてもいいだろう。俺の知り合いに役者がいるから小道具の小判をもらってくるからそれをいれればいいだろう」 ってことになって、にせものの小判にかわっただなんて気が付かないままけち兵衛は裁きを受けるために閻魔様の前につきだされたわけでして。 閻魔様の隣にある鏡ではけち兵衛の生前の行いが映されているのですが…これがまた人とはおもえないあこぎなことばかりで 「あかにし屋けち兵衛。そちは生前にこれほどの悪行をかさね人に迷惑をかけてきたとはなんたることだ」 と閻魔様がいうものだからけち兵衛、あわてて閻魔様の袖の下に100両をいれると、今まで怖かった閻魔様の顔がほころんで 「しかし、一代にしてこれほどの財を築き上げたのは並大抵のことではできぬ」 っていうもんだから回りの鬼どもは騒ぎ出してなぁ。けち兵衛は鬼にも小判をばら撒いて丸め込み地獄行きが一転、極楽へと行くことになりました。手に入った小判で鬼たちは飲めや歌えやのドンちゃん騒ぎ。青鬼が酔っ払って体が赤くなるもんだからどっちが赤鬼かわからないものでして。 そんなお金が回りまわって極楽へと行きついたときにこのお金がニセ金ということがわかりまして、その出所が地獄だときたものだから、極楽の役人は地獄へ行きにせ金を使った閻魔大王はじめ赤鬼青鬼すべて捕まってしまいました。 だから今は地獄はだーーれもいないのです。死ぬなら今… まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
飯食わぬ女房3
むかしなぁ、あるところになんともけちな男がいてなぁ、飯を食わねぇ女房はいねぇだろうかと考えている男がおったんだと。 そんな女いるわきゃねえんだどもなぁ、ある日のこと 「おらぁ、めしくわねえから女房にしてけろ」 というそれはそれはきれいなおなごが男の家にやってきたんだと。 「飯食わねえんだったら、女房にしてやる」 ってな一緒に住むようになったんだと。それからというもの女房は毎日毎日朝から晩まで働いてなぁ、飯も食わねえもんだから男もいい女房をもらったと満足していたんだと。 んだどもなぁ、米がたいそうたまっかと思ったらたまるどころか米が日に日に少なくなっていくもんでなぁ不思議がっていたんだと。女房が飯食わねえ、と言ったが実はこそこそ食ってんでねえかってな。 そこで男は仕事に出かけるふりをしてこっそりと天井裏に登ったんだと。そしたら女房が米びつから食いきれねえくらいの米を釜さ入れてな、はじめちょろちょろなかぱっぱ、ってな飯を炊くと部屋いっぱいににぎりめしをこさえてな、そうしたら女房は髪をかきあげる頭の後ろのほうさ口があってな、男はびっくりしたのなんのって、そんなことしらねえで女房は頭の後ろさある口に向かって次々とにぎりめしを放り投げてな、あっという間に食べてしまったんだと。 これを眺めていた男は恐ろしくなってなぁ、思わず 「おめえなにしてんだべ」 って叫んだんだと。そうしたら女房はなぁ、 「どこに飯食わねえやつがいんだべ」 っていったと思ったらみるみるやまんばにかわってなぁ、家を飛び出したんだと。 それからというもの男は一生ひとりもんですごしたんだとさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |



