高松狐
むかしといっても伊達家も末のことなんだと。仙台の高松というところに一匹のいたずら狐がいたんだと。色々と人を化かすもんだから里の人は困っていたんだってなぁ。 ある山伏がな、修行の途中に高松を通りかかると一匹の狐が寝ていたんだと。山伏はいたずら心を起こしてな、もっていたほら貝を狐の耳にそっと近づけて思いっきり ボォーーーーー って吹き鳴らしたんだと。狐はたまげてしまってな、びっくり仰天飛び上がって慌てて逃げてしまったんだと。その様子を見ていた山伏はげらげら笑いころげたんだと。 その時にお殿様の行列が 「下にー、下にー、」 ってやってきたもんだから慌てて山伏は土下座したんだと。そうしたらお殿様のかごが山伏の前に止まってな 「怪しいやつめ、ひっとらえろ」 って言うもんだから家来はさっと山伏をつかまえてな、有無をいわさず叩き始めたんだと。山伏は痛くて痛くてしょうがなくてな 「許してけれ、やめてけろ」 て、いうんだども一向にやめようとしなかったんだと。あんまりにも痛ぇもんだからわんわん泣いてしまってな。もう、骨もくだかんばかりだったんだと。 そんときに、はっ、と気がついて見てみるとまわりには墓石ばかりでな、泥まみれになって寝そべっていたんだと。 「あぁ、高松狐にしてやられたべ」 だってさ。 そんな高松狐にも最後の時がきてな、高松狐のいたづらがあんまりにもひどいもんだから、ある武士がが退治しに行ったんだと。 ある夜のこと、暗いはずなのに着物姿の人がぼんやりと見えたんだと。これが狐に違いないと確信してな、その場でいきなり斬りつけたんだと。そうしたら、ぎゃー、って大声を出して倒れたんだと。そうしたら神通力がとけたのか狐の姿になって倒れたんだと。 その夜は狐が斬られたあたりに狐火がたくさんでてな、 「こーん、こーんっ」 と狐の鳴き声が一晩中やまなかったんだと。 次の日に狐が斬られたあたりに行ってみると松の根元に出来たばかりの塚があってな、狐達が高松狐を埋葬したんだろうという話だったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
「源兵衛淵 その2」
むかしなぁ、ある淵の上の方さ源兵衛ちゅうもんが住んでいたんだと。 ある夜中こと、 「源兵衛さーん、あけてけろぉ」 ときこえるもんでな、こんな夜中に誰だべぇと思い戸を開けると一人のおなごが立っていたんだと。 源兵衛は 「こんな夜になんのようだべか」 と聞くと、おなごは 「私はこの淵に住んでいるうなぎです。明日の晩に賢淵の蜘蛛が攻めてくるゆえ、あなたに助太刀をお願いいたしたくまいりました」 と聞いて源兵衛は真っ青になり 「おらだめだ。そんな助太刀だなんてできるはずがねぇべ」 と、断ろうとしたんだと。そうしたらおなごは、 「あなたはここに源兵衛が控えているぞ、と言ってくださるだけで結構です」 というもんだから、源兵衛はただ名乗るだけならばいいべ、と思い約束したんだと。 あくる晩、淵の方からはどーーーん、というものすごい音が聞こえていたんだと。すさまじい叫び声と、水がまるで大きな波のようにざぶざぶ音を上げていたんだと。源兵衛は恐ろしくなって家の奥に一晩中縮こまっていたんだと。 次の日、おそるおそる淵へ行ってみると川は一面赤く血に染まっていたんだと。恐ろしくなった源兵衛は家に帰ろうと玄関まで行ったら、すぐ玄関脇に大うなぎの首があり、この世のものと思えないほどの恐ろしい形相で源兵衛をにらんでいたんだと。源兵衛は一目見るなり気が狂い死んでしまったんだと。 それ以来なぁ、この淵を源兵衛淵と呼ぶようになったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
「小鶴の池」
むかしなぁ、ある長者の家さ住み込みで働いているおっかあがおったんだと。おっかあにゃあ病気で死んだおっとうとのあいだに小鶴とちゅうあかんぼがいてなぁ、そんなわけだか らおっかあが一人でまいにちまいにち、あかんぼを背負って朝から晩まで働いていたんだと。 長者はその姿を見て 「あかんぼ背負っているんだったら手間賃はやれんなぁ」 二、三人分働かされたりと、いじわるされていたんだと。 おっかあは何度死のうか考えたかわかんねぇけど、小鶴のため、小鶴のためとがんばって働いたんだと。んだども長者のいびりが続くもんだからなぁ、仕方なくおっかあは小鶴を家において仕事さでかけたんだと。 「小鶴や、少しの辛抱だからなぁ」 と小鶴をおいて仕事が終わるとすぐに小鶴のとこにかけつけて乳を与えたんだと。 そんなある日のこと、おっかあは長者からいいつけられた仕事が長引いたもんで夜更けにようやく終わったんだと。おっかあは急いで小鶴のもとにかけつけたんだと。そうしていつものように乳を与えようとしたらなぁ、飢えのためか小鶴の体が冷たくなっていたんだと。 おっかあは泣きわめきながら近くにあった池に身を投げたんだってなぁ。おっかあが池に飛び込んでからというものまいばんまいばん、 「小鶴やー… 小鶴やー…」 という声が聞こえるようになったんだと。 母子が身をなげた池を村人達が悲しんで「小鶴ヶ池」と呼んでいたんだけど、その池は涸れてしまったんだと。小鶴ヶ池があったところを母親の小鶴に対する思いから「愛子(あやし)」と呼ぶようになったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |

