「小鶴の池」
むかし、ある長者の家さ住み込みで働いている小鶴というおなごがおったんだと。 小鶴はどういうわけなのか子供がいたんだども父親が誰だかわかんなかったんだと。 んだから小鶴が一人でまいにちまいにち、あかんぼを背負って朝から晩まで働いていたんだと。 長者はその姿を見て 「あかんぼおいて働け」 っていうんだけども、だれもあかんぼを見てくれる人がいねえもんだからな、ずっとあかんぼを背負ってるんだってな。 いじわるな長者はある日 「このたんぼを一人で植えてみろ。そうじゃなきゃあ手間賃はやれねえな」 と小鶴さいったんだと。 しかたねぇもんだから小鶴はまだ日が昇らねぇうちからあかんぼを背負って苗を植えていたんだと 。 「おめえもこらえてけろなぁ」 と小鶴はあかんぼにいって聞かせてせっせと田植えをしていたんだと。あかんぼはわかったのかどうなのか小鶴の肩をぎゅっ、と握っていたんだと。 そうして、一日中苗を植えて月が出て星がたくさん光るころにようやく苗を植え終えてなぁ。 小鶴はようやく終わったんで背負っていたあかんぼに乳を与えようとしたんだと。そしたら赤ん坊の体は冷たくなってなぁ。小鶴はあまりのことに嘆き悲しんで死んだあかんぼを抱きかかえると近くにあった池に身を投げたんだってなぁ。 母子が身をなげた池を「小鶴の池」と呼んでいたんだけど、その池は涸れてしまったんだと。そのあたりを今でも小鶴と呼ぶんだとさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
「谷風牛石」
むかしなぁ、仙台の南東さある七郷ちゅうとこさ力持ちで男勝りなおっかあがいたんだと。 ある時、おっかあが身ごもったもんでなぁ 「力の強い、丈夫な子をうみてぇなぁ」 っておもってなぁ、薬師堂の仁王様に願掛けすることにしたんだと。 百日もの間、まいばんまいばん夜中の丑の刻さたった一人でお参りしていたんだと。 いよいよ百日目の晩のことだった。 いつものようにおっかあが願掛けしに行ってみっとなぁ、門の前さ世にも恐ろしい大きな大きな牛が寝そべっていたんだと。 男勝りなおっかもさすがに立ちすくんだんだどもなぁ、 「ここぉ通らねば今までの苦労が水の泡になんべぇ」 と思ってな、目つぶって、思いきっていっぽ、いっぽ、前へ、前へ、牛をふんづけて門の中に入ったんだと。 やっとのことでお参りをすませて、帰り道、恐ろしい牛がいた門に行ってみるとそこには牛はいなくなり、ちょこんと石が置いてあったんだと。 のちに生まれた子供は丈夫に育って横綱になってなぁ、それが江戸の名横綱である谷風だったんだと。 村の人々は 「仁王様がおっかあの心をためすために石を牛に変えてためしたんだべなぁ」 って口々に言ったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |


