スネコタンポコ
むかしなぁ、南部のある村さじい様とばあ様がすんでいたんだと。二人にゃあ子供がいねえもんでなぁ、まいにちまいにち寂しく暮らしていたんだと。そこで二人そろって村の鎮守様さ行ってなぁ 「どうかオラたちさ子供を授けてくだせぇ」 ってまいにちまいにち願をかけていたんだと。そしたら願をかけていくうちにばあ様のすねさ小さいコブができたんだと。最初は何も気にしねかったんだども、日に日に大きくなってなぁ、そしたらコブがパカっとわれてなぁ、中から小さな小さな指ぐらいの子供が生まれてきたんだと。二人はたいそうよろこんでなぁ、すねから生まれたんでスネコタンポコって名前つけて二人でかわいがって育てたんだと。 ある日のこと、スネコタンポコがじい様とばあ様さ 「おらぁ、今から嫁っこ探しにいくだ。んだから馬っことコウセン(麦の粉)用意してけろ」 っていうんだと。じい様とばあ様は馬とコウセンを用意すっとなぁ、スネコタンポコは馬の耳ん中さ入って旅に出かけたんだと。 何日かたつとなぁ、見たこともねえ大きなお屋敷が見えたんだと。スネコタンポコは屋敷の前さ馬を止めっと 「ごめんくだせぇ、ごめんくだせぇ」 って屋敷へ向かって呼びかけたんだと。そしたら中から長者どんがでてきたんだども、声はするのに目の前には馬しかみえねかったんだと。 「長者どん、下だ下だ」 って声がするとなぁ、ようやくスネコタンポコに気がついたんだと。スネコタンポコが宿を頼むとなぁ、長者どんもこんな変わった人見たことねぇ、ってんで心よくスネコタンポコを泊めたんだと。その晩のこと、スネコタンポコは皆が寝ているのを確認すっと、長者どんの娘の部屋さこそっとはいてなぁ、娘の口の周りさコウセンをつけて、そのまま自分の床さ戻ったんだと。 夜があけっとなぁ、スネコタンポコがおいおいおいおい泣いているもんでなぁ、長者どんがなんで泣いているかを聞いたんだと。そしたら 「朝起きてみっと食料のコウセンがなくなってんだ。コウセンのこぼれたあとたどってみっと長者どんの娘さんの部屋さいってんです」 っていうんだと。長者どんが娘っこの部屋さ行ってみっと、娘っこの口のまわりさコウセンがついているもんでなぁ、長者どんはカァーっとなってしまい 「人のものをとるように育てた覚えはねぇ。とっとと出て行け!」 って娘っこを家から追い出したんだと。 門の外さスネコタンポコの馬がいてなぁ、耳からスネコタンポコが出てきて空中で回転すっとなぁ、あんなに小さかったスネコタンポコがたくましい青年さ変身したんだと。 「長者どん、おらぁあんたの娘さんを嫁っこさもらうべ」 っていって、娘っこを馬にのせてじい様とばあ様のところさ帰っていったんだと。 それからというもの、二人は一生懸命働いて四人で幸せに暮らしたんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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若水汲み
むかしなぁ、牛潟村ちゅうとこさ一人の男が住んでいたんだと。男にはみよりもだぁれもいねぇひとりぼっちなもんでなぁ、海さでて漁をしてはほそぼそとくらしていたんだと。 ある年のおおみそかのこと、明日は正月ってなもんで男が正月のしたくするために財布を見たんだと。んだどもたぁったの十文しかはいっていねぇもんでなぁ、んでもそれでも何か買ってこようと町さでかけていったんだと。栗山村を過ぎたあたりでなぁ、わらしっ子たちが道の真ん中でわいわい騒いでいたんだと。なんだべなぁってんで男がひょいと覗くと、そこには子狐がいてなぁ、わたしたちに棒で殴られたりしていじめられていたんだと。それを見ていた男はかわいそうにおもってな 「おめぇら、よってたかっていじめてかわいそうでねぇか」 っていったんだと。そしたらわらしは 「きつねはひとだますからぶっころしてやるんだ」 っていうと、また棒で子狐を叩き始めたんだと。それをみていた男は我慢できなくなってなぁ 「わかったわかった、それならこの金やるから子狐をおらさよこせ」 って有り金の十文をわらしたちに渡したんだと。わらしは喜んで狐を男に渡してどっかにいってしまったんだと。男は子狐を放してやるとなぁ、子狐は沼の方さ向かって走り出し、男のほうをひょいと振り向いた後そのまま藪の中さ姿を消したんだと。 さぁ、男は金がねくなったもんだからしかたなしに家さ戻ったんだと。家にはわずかな米しか残っていねぇもんだから何も食わねぇでそのまま布団かぶって寝てしまったんだと。翌元旦の朝のこと、男は目覚ましたんだども、お供えするかざりもなんもねぇもんでなぁ、せめて新しい水でも備えようと井戸から水を汲んで神棚さ供えたんだと。 そしたら昨日の晩から何も食っていねぇもんで腹の虫がぐぅぐぅぐぅぐぅ鳴るもんでな、残っていたわずかな米を鍋さいれて、近くの海からとってきたわかめと一緒におかゆを作ったんだと。おかゆができあがり鍋のふたをとってみっとなぁ、最初に入れた米よりなんだか多く入っているような気がしたんだと。 んだども気のせいだべ、ってことで男はわかめがゆで正月を祝ったんだと。んだども全部食ってしまっては次の日から米がねぇ文だから少しおかゆを残したんだと。 次の日、残したおかゆさわかめと水をいれて火にかけていたんだと。そしてふたをあけてみたら昨日の同じくらいの量のおかゆが入っていたんだと。次の日も、そのまた次の日も、食っても食ってもおかゆは一向に減らなかったんだと。男は狐が恩返ししてくれたんだべ、って思ってんだと。 その話が人づて人づてに離していくうちにいつのまに元旦の朝に水を汲むといいことがある、って話のほうになったんだと。それから津軽では元旦の朝に水を汲む若水が行われるようになったんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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年取りの客
むかしなぁ、大晦日の晩のこと。ある村さぼろぼろの袈裟まとった目が見えねぇ坊様が通りかかったんだと。坊様は今日年を越す宿がねえもんでなぁ、杖をたよりにそろそろと村の家々を歩きまわっては年越させてもらえねぇか、年越させてもらえねぇか、って頼んだんだと。んだどもどこもそんな余裕ねぇ、って断られるもんでなぁ、とうとう村の外れまで来てしまったんだと。 村のはずれさぽつんとぼろぼろの一軒家があったてなぁ、坊様はそこにも年取らせてもらえねぇかって頼んだんだと。そしたらそこの父様が 「それはそれはなんぎなこった。ほら泊まってけ」 ってな。川魚なんかを坊様さ振舞ったんだと。坊様は寝る時になぁ、 「おらぁ、目がみえねぇんだども習わしで朝に若水をくむもんでなぁ。井戸と桶のあるとこ教えてけろ」 って言うんだと。父様と母様はそれはあぶねぇからやめとけって言うんだども、坊様は昔からの風習だからどうしてもしなきゃなんねぇ、って譲らなくてなぁ。仕方ねぇもんで坊様の手を引っ張って井戸と桶のある場所を教えてその晩寝かせたんだと。んだども坊様が井戸におちねぇか心配なもんでな。ずっと寝れねぇでいたんだと。 そしたらこけこっこー、って一番鶏が鳴いたんだと。坊様が部屋から出て井戸の方さ歩いていくのがわかったんだども、 ぼちゃーん って坊様が井戸さ落ちた音が聞こえたんだと。父様と母様はほれみたことか、ってんで急いで井戸さ駆けつけてつるべを引き上げて坊様を助けようとしたんだと。そしたらそこさ坊様の姿はなく大判小判が山ほどあったんだと。大判小判を引き上げても坊様の姿がみえねぇもんでなぁ、こりゃあ坊様は福の神ではないかってことでなぁ、大判小判を村のもんさ分け与えて父様と母様も幸せに暮らしたんだと。 それを聞いた隣村の親父がなぁ、こりゃあおらも大判小判せしめてやるべってんで朝から仕事しねぇで坊様がくるのをひたすら待っていたんだと。そしたら正月近くのまだ日も昇っているころに目のみえねぇ坊様が通りかかったんだと。坊様はまだ明るいから隣の村まで行くって言うんだども親父は泊まれ泊まれってしつこく言うもんでなぁ、根負けして坊様は泊まることにしたんだと。親父は坊様さご馳走を振舞ったんだと。そして坊様さ 「おらほさ泊まったにゃあ、朝さ若水を汲まねばなんねぇ」 っていったんだと。坊様は目がみえねぇのにどうやって水汲むんだ、って断ったんだども親父がしつこくしつこく言うもんでなぁ、しぶしぶ承知したんだと。 翌朝さなって、坊様が井戸さ若水を汲みにいったんだと。んだどもいどさおちねぇで無事戻ってきたもんでなぁ、親父はもう一度汲みに行けっていうんだと。坊様は仕方なくもう一度汲みさ行くんだども落ちねぇで無事に戻ってきたんだと。親父はごうを煮やして三度坊様さ汲みに行かせたんだと。坊様の後ろをこっそり親父がついていってなぁ、坊様が水汲もうとした時に足引っ張って坊様を井戸さ落っことしたんだと。親父はやっと落ちたってんで、つるべで坊様を引き上げたんだどもそこには冷たくなった坊様がいたんだと。坊様殺したもんだから、親父は牢屋さぶちこまれてしまってなぁ、うらやましいからってんで人の真似をするもんではねぇもんだと。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |
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膳の湯
むかしなぁ、歌津の地ではまいにちまいにち日が照るもんだから作物がいっこうに育たなねかったんだと。稲やらなにやらみぃんな雨がふらねぇもんだから枯れはててしまったんだども、蕎麦だけはすくすくと育ってなぁ、村のもんが蕎麦を食って飢えをしのいでいたんだと。 ある日のこと、村さ一人の旅のもんがやってきたんだと。旅のもんは今払川のほとりを歩いていたんだと。そしたら急に腹の虫がなきはじめてな、まわりには店のようなものはどこにも見あたらねかったもんだから仕方なしに近くの家へいってな 「ごめんくだせぇ。おら、旅をしてここまでやってきたんだども朝からなぁんにも食っていねぇもんでな、なんか食わせてけねぇべか」 って言ったんだと。そしたら家の主人が 「それはそれはなんぎであったことでしょう。今年は飢饉でなにも食べるものがありませんが、蕎麦でよろしければどうぞおめしあがりください」 ってなぁ、旅のもんさそばがきを振舞ったんだと。旅のもんはそばがきをおいしそうに食べ水をごくりと飲みほしたんだと。そこさそば湯もだされたんだども旅のもんは腹いっぱいになってなぁ、そば湯をのまねぇでご主人さお礼を言ってまた元気に歩き出したんだと。 坂之貝峠を越えて入谷さ降りてなぁ、沼のほとりを歩いていたところさ一人の男がおってなぁ 「もし、そこの旅のお方、旅のお方。おめぇさんどっから来た」 って呼び止めたんだと。そしたら 「おらぁ、今払川の家さ蕎麦ご馳走になったところだ」 って答えたんだと。それを聞いた男は 「おめぇ、蕎麦食って水飲んだか?お湯飲んだか?」 って聞くとなぁ、旅のもんは 「おら、水だけ飲んだ。お湯っこは飲んでねぇ」 って答えたとたん、男が刀を振りかざして旅のもんのわき腹さぐさりと刺したんだと。そして男は旅のもんの腹を切り裂いて中さあったそばがきを沼の水で洗っておいしそうに食べたんだと。このことを知った村のもんが哀れに思い沼のほとりさ旅のもんの墓を作ったんだと。 蕎麦を食った後に水を飲むとそばが固まってしまうもんだから、そば湯を膳の湯として飲めばいいんだとさ。 まんが日本昔ばなしの本をお探しの方はこちら ![]() |



